診察台に横になり、モニターを見ながら行う超音波検査。
「先生は今、何を見ているのだろう?」
「卵があるかどうかだけ?」
そう感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
実は、不妊治療では
初診時・採卵周期・移植周期で
見ているポイントが大きく異なります。
今日はその違いをわかりやすく解説します。
① 初診時に見ていること
〜妊娠の“土台”チェック〜
最初の超音波は、妊娠できる環境が整っているかを確認する検査です。
■ 子宮
● 筋腫や腺筋症などのできものの有無
子宮の壁に筋腫がないか、腺筋症がないかを確認します。
特に内膜に近い位置にある場合は、着床への影響を評価します。
● 排卵前なら子宮内膜ポリープの有無
ポリープは排卵前が最も見つけやすいタイミングです。
小さくても着床の妨げになることがあります。
● 帝王切開後の傷の状態
帝王切開を受けたことがある方では、
子宮の傷(瘢痕部)がきれいに治っているかを確認します。
傷にくぼみがある場合は、着床障害や出血の原因になることがあります。
● 子宮を押して癒着の評価
超音波で子宮を軽く押し、動きを確認します。
動きが悪い場合、直腸との癒着が疑われ、子宮内膜症の可能性を考えます。
■ 卵巣
● 卵巣の位置
卵巣が通常の位置にあるか、どこかに癒着していないかを確認します。
● 卵胞が育っているか
今周期の卵胞の状態を見ます。
● 前周期の卵胞が遺残していないか
前の周期の卵が残っていると次の卵の発育に影響します。
● チョコレート嚢胞などの卵巣嚢腫
子宮内膜症に伴う嚢胞がないかも確認します。
② 採卵周期に見ていること
〜卵の数と成長の管理〜
採卵周期では、卵の育ち具合を細かく管理しています。
● 月経中:その周期に育つ小さな卵の数
いわゆる胞状卵胞の数を確認します。
これにより刺激方法を決定し、採卵個数を予測します。
● 前周期の遺残卵胞がないか
刺激開始前に必ずチェックします。
● 卵胞が順調に育っているか
大きさ・数を見ながら薬の量を調整します。
● 卵巣の位置は穿刺可能か
採卵では腟から卵巣に針を刺します。
安全に届く位置にあるかどうかは非常に重要です。
深い位置にある場合強めに超音波を押し付けたりお腹を押す必要があります。
● 診察時の痛みの程度
診察時の痛みは、採卵時の麻酔方法を検討する参考になります。
③ 移植周期に見ていること
〜着床の最終チェック〜
移植周期では、着床環境が整っているかを確認します。
● 内膜がしっかり厚くなっているか
ホルモンにきちんと反応しているかを見ます。
● 内膜が木の葉状に見えているか
三層構造がきれいに見えているかは重要なポイントです。
● 内膜ポリープはないか
通常は事前に確認していますが、最終チェックを行います。
● 子宮の立体的な傾き・曲がり具合
子宮の角度や曲がり方を把握し、
移植カテーテルがスムーズに入るかをイメージしています。
超音波はその時その時によって見ているものが異なります。
診察中に
「今何を見ていますか?」
と聞いていただいて大丈夫です。
理解しながら治療を進めることが、
安心と納得につながります。