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先進医療としてのタイムラプス培養

体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)では、
「どの胚を移植するか」だけでなく、
「どのような環境で胚を育てるか」も治療成績に関わる重要なポイントです。

その胚培養環境をより安定させる方法として用いられているのが、
タイムラプス培養(time-lapse incubation)です。


目次

タイムラプス培養とは?

タイムラプス培養とは、
胚を培養器から外に出すことなく、連続的に撮影しながら培養する方法です。

従来の培養では、

  • 観察のたびに培養器を開ける
  • 胚を一時的に外気にさらす

必要がありました。

一方、タイムラプス培養では、

  • 温度
  • 酸素濃度
  • pH

を一定に保ったまま、
24時間連続で胚の発育を観察することが可能です。


胚にとって「安定した培養環境」が重要な理由

胚は0.1mmと非常に小さく繊細で、

  • わずかな温度変化
  • 酸素濃度の変動
  • 光への曝露

といった環境変化の影響を受けやすいことが知られています。

タイムラプス培養では、
観察のために培養器を開ける必要がないため、
胚にとってより安定した環境を保つことができます。


日本から報告された重要な研究

タイムラプス培養の有用性については、
国内外でさまざまな研究が行われています。

その中でも、日本から報告された研究としてUenoらによる研究(2019年)があります。

この研究で示されたポイント

日本の単施設・大規模研究では、
タイムラプス培養(閉鎖型培養システム)を用いた場合、
通常培養と比べて妊娠継続率が有意に高かったことが報告されています。

また、

  • 良好な胚盤胞の割合が高い
  • 妊娠初期の流産率が低い傾向

といった結果も示されています。


なぜ良い結果につながったと考えられるのか

この研究では、
胚の分割タイミングによる積極的な選別は行われていません。

代わりに重視されたのは、

  • 胚を培養器から出さない
  • 培養環境を安定させる

という点です。

つまり、

胚をより安定した環境で育てること自体が、
胚の質や妊娠経過に良い影響を与えた可能性

が考えられます。


当院がタイムラプス培養を基本的におすすめしている理由

当院では、

  • 胚への不要な刺激を減らせる
  • 胚の発育過程を詳細に把握できる
  • 年齢や不妊原因にかかわらず応用しやすい

といった点から、
先進医療の中でも汎用性が高い方法と考えています。

そのため、

  • 初めて体外受精を受ける方
  • これまでの治療経過に関わらず

特別な理由がない限り、基本的にタイムラプス培養をご提案しています。



まとめ

  • タイムラプス培養は、胚を安定した環境で培養できる方法
  • 日本からの研究で、妊娠継続率の改善が報告されている
  • 当院では、特別な理由がない限り多くの方におすすめしている

不妊治療では、
一つひとつの選択を理解し、納得して進めることが大切です。

タイムラプス培養について気になる点があれば、
診察時にお気軽にご相談ください。


参考文献

Ueno S, et al.
Reproductive Biology. 2019;19:139–144.
Closed embryo culture system improved embryological and clinical outcome for single vitrified-warmed blastocyst transfer. A single-center large cohort study

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