― 本当に原因はないのでしょうか? ―
「検査では特に異常がありません。」
このように説明を受けて、
何も問題がないはずなのに妊娠しない
これ以上、何をすればよいのかわからない
と感じた方も多いのではないでしょうか。
しかし、原因不明不妊とは「原因が存在しない」という意味ではありません。
現在の一般的な検査では評価しきれない“機能的な問題”が隠れていることも少なくないのです。
原因不明不妊とは?
原因不明不妊とは、以下のような基本的な検査で明らかな異常が見つからない状態を指します。
- 排卵が確認されている
- 精液検査に大きな異常がない
- 卵管造影検査で卵管が通っている
- 子宮に明らかな異常がない
これらの条件を満たしていても、一定期間妊娠に至らない場合、「原因不明不妊」と診断されます。
ただしこれは、「異常がない」ことの証明ではなく、「現時点の検査では原因が特定できていない」状態と考える方が自然です。
検査ではわからない「卵管の機能障害」
卵管は「通っていれば大丈夫」ではありません
卵管造影検査では、卵管が詰まっていないか(通過性)を評価します。
しかし、卵管の役割は単に通り道であることだけではありません。
卵管には以下のような重要な働きがあります。
- 排卵された卵子を卵管采でキャッチする
- 卵管内で精子と卵子が出会い、受精が起こる
- 受精卵を適切なタイミングで子宮へ運ぶ
これらは造影検査では直接評価できない機能です。
ピックアップ障害(卵子を拾えない状態)
排卵は正常に起きていても、卵管采が卵子をうまく拾えない状態を
卵管のピックアップ障害と呼びます。
- 卵管は通っている
- 造影検査では正常に見える
- それでも自然妊娠しにくい
このようなケースでは、
軽度の癒着、過去の炎症などが関与している可能性があります。
「卵管は通っているのに妊娠しない」原因の一つとして、ピックアップ障害は重要なポイントです。
受精障害は体外受精をして初めてわかることがある
自然妊娠では受精過程は見えません
自然妊娠では、
- 精子が卵子に到達しているか
- 実際に受精が起きているか
- 受精後、胚がきちんと発育しているか
といった過程を直接確認することはできません。
そのため、受精そのものに問題があっても、外からはわからないのが現実です。
体外受精で初めて明らかになる異常
体外受精を行うことで、次のようなことが初めて確認できる場合があります。
- 卵子に直接精子をふりかけても受精しないまたはが極端に効率がわるい
- 受精はするが、胚の発育が途中で止まる
これらは、「原因不明」とされていた理由が治療の過程で見えてくる典型例です。
体外受精は治療であると同時に、診断的な意味を持つ治療でもあります。
原因不明不妊で体外受精に進むのは早すぎる?
「体外受精は最後の手段」というイメージを持たれる方も少なくありません。
しかし、原因不明不妊の場合、
- 見えない原因を明らかにする
- 無駄に時間を消費しない
- 年齢や将来設計を考慮する
という観点から、体外受精が合理的な選択肢となることも多いのが実際です。
まとめ
- 原因不明不妊は「原因がない」という意味ではありません
- 卵管の機能障害(ピックアップ障害)など、検査では評価できない問題が隠れていることがあります
- 受精や胚発育の異常は、体外受精をして初めてわかる場合があります
- 体外受精は治療であると同時に、原因を明らかにする手段でもあります
大切なのは、「原因不明」という言葉にこだわりすぎず、
納得しながら次の一歩を選んでいくことです。