喫煙については、不妊のみならず、妊娠および胎児への影響、またその後の健康についても様々に指摘されています。
印象的には、間違いなく悪いものという認識がありますが、一方で喫煙している不妊症の女性も少なからずいるのも事実です。
不妊治療の中で最も難しい治療といわれるのが、実は禁煙とダイエットという方もいます。
どれほど悪影響があるもの一度整理してみましょう。
喫煙による女性の卵子の老化促進?!
喫煙している女性は、なかなか妊娠しにくいとよく言われます。
これは万国共通で、様々なところから研究・調査の発表がされています。
イギリスの調査では、避妊を中止してから5年以上妊娠しなかったカップルを調査したところ
非喫煙者:5.4%
喫煙者:10.7%(約2倍)
となることを明らかにしています。
アメリカでは、避妊を中止してから妊娠しなかった確率が、
非喫煙者と比べると、
3.4倍
になることを報告しています。
オランダの報告では、喫煙する女性が喫煙しない女性に比べて、
出産率が28%も低かったことを報告しています。
この大きな落差は、20歳と30歳の妊孕性の低下と同じ幅であるため、喫煙することによって、
女性の生殖年齢を10歳も老化させる
ともいわれています。
その他にも、妊娠を希望してから、妊娠に至るまでの期間が長くなるという報告も数多くなれているのです。
タバコが与える卵巣への深刻な悪影響
喫煙者の血中FSH(卵胞刺激ホルモン)の濃度は非喫煙者に比べて、23%高いことが明らかになっています。
これはつまり、喫煙することによって卵巣の機能が低下していることを示唆しています。
その結果、喫煙する女性は卵巣機能の低下が早くなるため、閉経も早くなるという報告がされています。
さらに機能的にも悪影響があるとされています。
妊娠のために非常に重要な役割を担っている卵管采。
卵管采は、排卵されてきた卵子を捕まえ(キャッチアップ)、精子との出会いを実現する妊娠のカギともいえる役割を持っていますが、
この卵管采の動きが喫煙によって悪くなり、受精率が低下してしまうということも指摘されています。
喫煙が体外受精の成功率も下げる
喫煙者と非喫煙者を比べると体外受精の成功率は、おおよそ半分まで定価するといわれています。
実際に、1日10本以下の喫煙者の妊娠率が52%であったのに対して、それ以上の喫煙者では31%であったととされています。
この一因として考えられているのは、
-
女性ホルモンなどへの悪影響により卵子が育っていかないという状況
-
喫煙によって子宮内膜の環境が悪化している状況
などが考えられるといわれています。
これらは不妊治療という観点だけで、見た場合の喫煙による不都合です。
その後の妊娠や出産、育児、さらには女性のその後の健康という観点から見ていけば
おそらくあげたらきりがないレベルでしょう。
それでも喫煙してしまう人がいるというほど、喫煙しないということは難しいことです。
一人で悩まず、パートナーや医師、看護師、カウンセラーと相談して取り組んでいきましょう。