喫煙は百害あって一利なしといわれます。
しかし、現実にはヘビースモーカーの方でも妊娠出産に至る例があり
大丈夫なのではないかと、ついつい喫煙者の方は安心してしまうかもしれません。
まずは、男性不妊と喫煙の関係性について、情報の整理をしておきましょう。
本当は大丈夫?喫煙が与える男性不妊の影響
実は従来、一部では、男性の喫煙は精子所見にほとんど影響がないという報告もありました。
しかし、現在においては、男性の生殖能力と喫煙の関係性が確かに指摘されるようになっています。
造成機能に悪影響を与えている
アメリカ生殖医学会(ASRM)は喫煙する男性の精子が正常な精子に比べ、
卵子との結合力が弱いというデータを発表しています。つまり受精しにくいということです。
研究対象は、1日4本以上のタバコを2年以上吸っている男性でしたが、
受精能力が正常な精子の4分の1程度にしかならなかったというのです。
その他、様々な研究においても、喫煙による精液所見への悪影響は確認されており、
ノースカロライナ大学の報告においては、総精子数が15-24%少なくなるというデータを発表していますし、
喫煙者の精子濃度は15.3%低下、総精子数は17.5%低下、
総運動精子数は16.6%低下し、正常形態精子の数も低下するとの報告されています。
勃起不全(ED)との関係性も指摘されている
喫煙による悪影響で上げられるのが、「血管の収縮」です。
そもそも陰茎は、血管の塊と言われるほどのものです。
簡単に言えば、その血管に血が流れていくことによって、勃起となるわけです。
そのため、血管が収縮してしまっては、本末転倒であることは、ご理解いただけると思います。
シドニーの研究チームの報告によれば、1日20本以上の喫煙をする男性は非喫煙者に比べると、
EDを発症するリスクが1.4倍になるともいわれています。
さらには、喫煙者でありEDの症状がある方314人を対象とした調査では、喫煙量が多くなればなるほど、
勃起能の低下と関係していることが明らかにされています。
その他、ED治療の現場においては、ED患者の80%が喫煙者であるなどともいわれており、
深刻な原因の一つとして考えられています。
不妊治療において、「不妊原因は100%これだ!」と断定することが難しく、そうした不確かさもある中で、夫婦での協力を前提に進んでいきます。
男性に原因がある場合でも、女性は治療に参加しなくてはいけません。どうしても不妊治療においては、女性の負担は大きくなります。
そして、生まれてくる子供を無事に育てていくためには、健康であり続けなくてはいけません。
もちろん、「喫煙していることで不妊になる、病気になる」と言い切れないわけですが、
今喫煙をされていて、不妊治療に望まれている方は、こうした背景を知ってもなお喫煙を続けるのか、パートナーとよく話し合う事をおすすめします。