先日のセミナーでも何名かの方からいただいた質問ですが、
「妊娠率は何%ですか?」というお声が多くあります。
一番知りたいことだと思います。
ただ、この妊娠率には多くの誤解もあるため、ポイントを紹介していきたいと思います。
妊娠率の誤解①分母と分子が異なること
妊娠率を算定しようと考えたとき、その分母を分子をよく見ないといけないことは
思いのほか知られていないように思います。
分母となるものが、採卵(卵子)あたりなのか、受精した後の胚盤胞あたりなのか。
そして、分子となるものが化学的妊娠を含むのか、胎嚢確認(GS)を言われるものなのか。
実は、このことを公開していない医療機関は多くあります。
胚盤胞あたりということで、妊娠率を出して、50%という妊娠率であったとします。
しかし、そもそも採卵してから胚盤胞に至るまでの確率を考えなければなりません。
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採取した卵子が、成熟卵子であり、
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その成熟した卵子が正しく受精し、
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受精した後に胚盤胞まで育つ
となると、概ね25%になります。
つまり、胚盤胞を一つ育てるために必要な卵子は一つではないので、
仮に1回の採卵で一つの卵子を得る自然周期の場合、4回の採卵が必要になります。
年齢による影響も
また、この25%という確率は、年齢に大きく影響されます。
35歳未満であれば、3-4個の成熟卵で1つの正常な胚盤胞が得られるところが、
38歳を超えると、6個の成熟卵から1つの正常な胚盤胞が得られる(16%)
40歳を超えると、10%を切るようになっていきます。
つまり、その確率が下がる分だけ、卵子の数が必要になっていきます。
仮に38歳の方が、胚盤胞を一つ得ようと思えば、平均的な数字で考えると
自然周期採卵で6回から8回の採卵
調節刺激法では1回の採卵で、必要な卵子の数が得られます。
自然周期の採卵当たり妊娠率は、6回の採卵で胚盤胞が得られ、
その胚盤胞を移植した時に妊娠率が仮に50%だとするなら、8%程度になるかと思います。
調節刺激法の採卵当たり妊娠率は、1回の採卵で正常胚盤胞が得られるため、50%となるわけです。
もちろん、あくまでもこれは確率論であり、こうした確率論の枠を超えて、1回目で成功するという方も多くいます。
しかし、表層に出てきた妊娠率という数字をきちんと理解できるだけの知識は持っておければと思います。