日本では、生殖補助医療における性の性別は禁止されています。
しかし、日本を始め、世界的には多くの治療件数が実施されており、そうした膨大な情報から分析をすることで、
生殖補助医療を通じて、誕生したお子さんの性別を調べていくといくつかの傾向が確認されているようです。
①BMIが高い男性の場合
1) Zhu J et al. Effect of male body mass index on live-birth sex ratio of singletons after assisted reproduction technology. Fertil Steril 104:1406-1410, 2015
この論文においては、BMI({体重(kg)/身長(m)/身長(m)}で算出)が高い男性の場合には、
男児が生まれる可能性が高かったこと
を報告しています。
もちろん、男性の肥満と不妊についても関係がありますから、BMIが高いことは推奨できません。
②胚盤胞移植と初期胚移植による違い
2) Maalouf WE et al. Effects of assisted reproductive technologies on human sex ratio at birth. Fertil Steril 101:1321-1325,2014.
胚盤胞移植の方が新鮮胚移植と比べて、6%男児が生まれる可能性が高かったことを報告しています。
これは非常に大きなポイントで、現在日本での治療の多くは凍結融解胚移植によるものであるためです。
③精子運動率が低くICSIを施行した場合
Arikawa M et al. Effect of semen quality on human sex ratio in in vitro fertilization
and intracytoplasmic sperm injection: an analysis of 27,158 singleton infants born after fresh single-embryo transfer. Fertil Steril 105:897-904,2016.
日本の論文です。
精子運動率が低くICSIを実施した場合、つまり男性不妊症のケースでICSIを実施した際に、
女児が多い傾向を認めたということです。
④中国の大規模な調査によると・・・
Bu Z et al. Live birth sex ratio after in vitro fertilization and embryo transfer in China-an analysis of 121,247 babies from 18 centers. PLOS ONE 9:1-6,2014.
この論文は中国のもので、18施設93,895人の女性から121,247名の赤ちゃんについて調査したものです。これによれば、男児:女児の割合が107:100でした。胚盤胞移植で54.9%、初期胚移植で51.4%、凍結融解初期拝胚移植で52.4%、新鮮初期胚移植で51.5%が男児ということが報告されています
まだまだすべてのメカニズムが明らかになっているわけではありませんが、
これらをまとめると、結論として、
ICSI(顕微授精)は男児の割合を低下させ、胚盤胞移植は男児の割合を増加させる傾向があることが示唆されています。