日本やアジアにおいては、痩せの美学が存在します。
世界的には肥満が問題であるのに対して、痩せすぎが問題になるのも日本の特徴です。
この痩せが現在非常に大きな問題となっていることをご存知でしょうか。
不妊症との関係については、諸説あるものの痩せすぎだから絶対に不妊になるとは言い切れませんが、
問題はその後の妊娠中、そして出産、生まれてきた赤ちゃんにも続いていきます。
痩せと妊娠、その後の出産について及ぼす影響について考えてみましょう。
子の人生を決めるのは親の食生活?
「成人病(生活習慣病)胎児期発症起源説」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは簡単に言えば、母となる女性の食生活の影響を受けてこどもの一生の体質が決まるというもので、
実はこれまでの様々な研究によって、例えばダイエットによる不規則な食生活、不十分な栄養状態のまま妊娠したりした場合、
胎児へ十分な栄養が供給されないということだけでなく、遺伝子の働きを調節するメカニズムにも変化を与え、
生活習慣病にかかりやすくなることがわかっているのです。
これはイギリスのディヴィッド・パーカー教授が1980年代に提唱し、
糖尿病や高血圧症などの70%は胎児期の栄養不足による原因となっているのではないかと言われています。
やせでの出産が「低出生体重児」に影響を与える
2500gを下回って生まれてくる赤ちゃんを低出生体重児と呼びますが、
多くの場合、正期産児とほとんど変わらない成長予後となることが確認されているものの、
注意欠如多動性障害、学習障害、聴力障害などになりやすくなることが確認されています。
その低出生体重時の比率が、1980年には5.2%、20年後の2000年には8.6%、2006年には9.6%と増加しており
いまでは10人に1人が低出生体重児と言われています。
低出生体重児は、心筋梗塞や心臓病のリスクが高いほか、メタボリックシンドローム、
虚血性心疾患、高血圧、糖尿病などの発症リスクが高いとされています。
少ない低体重で生きていくように形成された体質であるにも関わらず、
栄養素に満ちた現代ではその子にとっては過剰な栄養を供給してしまうことになり、
肥満になりやすくなるというメカニズムです。
母体への影響も無視できないもの
やせでの出産は、早産や切迫早産につながりやすいことが知られているほか、
低出生体重児のほうが帝王切開の確率が2倍高くなるといわれています。
つまり母体にも子にも影響を与えてしまうということです。
妊娠前、妊娠中はやせないようにしてください。
もちろん太りすぎもよくありませんが、
BMIを目安にしながら自分の適正体重を理解することから始めましょう。