不妊治療で最も難しい治療の一つといわれるのは、実はダイエットです。
つまり肥満が不妊に対して影響があり、その対策も難しいということになります。
肥満とは何か、肥満が不妊症につながる要因、それ以外の肥満が及ぼすリスクについて解説します。
肥満の定義とは?
肥満を定義するうえでは、まずBMI(ボディー・マス・インデックス)から始める必要があります。
BMI= 体重kg ÷ (身長m)2
適正体重= (身長m)2 ×22
が計算式となります。
また、BMIと体脂肪率は多くの場合、相関関係があるため、BMIと体脂肪率を合わせて管理するとよいとされています。
「肥満」とは太っている状態であって、疾病を意味するものではありません。
肥満であるかどうかは体脂肪量によりますが、体脂肪量をはかる簡便な方法が無いため、
指標としてBMI(Body Mass Index)が世界的に広く用いられています。
WHOによる肥満の判定基準は、BMI 30以上が肥満です。一方、日本ではBMI 25以上を肥満としています。
これは日本肥満学会が定義した基準で、日本人はBMI 25を超えたあたりから、
-
耐糖能障害
-
脂質異常症
-
高血圧
といった合併症の発症頻度が高まることが理由です。
参照元:日本肥満症予防協会 http://himan.jp/column/what/
少なくとも日本においては、BMI25を超えると「肥満」の対象となることが明らかです。
肥満症が与える不妊への影響とは?妊娠する力が低下する?
肥満であることはどのような影響を妊孕性(にんよう性)に与えるのでしょうか。
①排卵障害、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)になりやすい
②実際に妊娠率が下がり、流産率が上がる
この二つが大きく上げられる不妊への影響です。
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)との関連性
日本産科婦人科学会の生殖内分泌委員会の報告によると、PCOS患者の肥満頻度は20%とされ、
肥満すなわち不妊ということではないのですが、
肥満→月経異常→不妊という影響の流れがあり、PCOSにおけるもっと大きな問題は「月経異常」となり重なります。
肥満婦人の48%に無月経がある、あるいは44.8%に無月経や稀発月経などの月経異常が出現する
といわれており、
そのため、肥満に対して治療を行うということは、PCOSの治療と同義となるともいわれつことがあるほどです。
妊孕性(にんようせい:妊娠する力)の低下
日本の医療機関の報告では、BMIと妊孕性の関連性を図るために、
体外受精を行った方を低BMI、正常BMI、高BMIで分けた結果が報告されています。
体外受精を行う場合、胚盤胞(良形態)のものがどれだけ多いかを見ることができ、
胚盤胞まで育つかどうかは「卵子の質」に起因するとされています。
結果としては、正常BMI、低BMIが55%以上の比率であったのに対して、
35%前後と大きく比率が下がる結果となりました。
また、その影響もあり、「妊娠率は下がり、流産率は高まった」と報告されています。
肥満により不妊となり、そのストレスによってさらに肥満が加速するということも少なくないとされています。
そのため、不妊における治療で最も難しい治療は肥満であり、ダイエットだといわれるのにもうなずけます。
様々な方法がありますが、まずは自身のBMIを理解し、肥満であるのかを把握したうえで、
肥満であるのなら医師や看護師に相談することから始めましょう。
この記事へのコメントはありません。