コラム

睡眠と不妊の関係性について

睡眠と不妊、妊娠には様々な関係があるといわれています。

医学的な観点からは、ホルモン分泌との関係性にあります。

よく眠ること、規則正しく眠ることでホルモン分泌が促され、より妊娠しやすい環境が整います。

一つずつ整理していきましょう。

 

女性の不妊と睡眠


睡眠は「レム睡眠→ノンレム睡眠→レム睡眠・・・」と繰り返していきます。

このうち、はじめに訪れるノンレム睡眠時にホルモン分泌が活発に行われます。

この成長ホルモンは女性ホルモンの分泌を調整する働きを持つため、非常に重要だと考えられるわけです。

成人前の女性(とくに第二次成長期)において、黄体ホルモン(LH)は睡眠中に分泌量が上がることで知られています。

また、重要なポイントとなるのが「メラトニン」という睡眠ホルモンです。

 

睡眠ホルモン「メラトニン」とは


メラトニンは、睡眠をつかさどるホルモンとして知られています。

暗くなれば「眠りなさい」という指令とともに分泌され、

明るくなれば「起きなさい」ということで分泌が止まります。

明るい光を感じると、脳は昼間だと勘違いします。

ここは重要なポイントです。

 

そのため、メラトニンの生成を促すためにも、緊張をほぐすためにも睡眠前から照明を暗くするといいと言われていますし

寝る前のスマートフォンもブルーライトという強い光を放つのでやめるべきだと言われるわけです。

メラトニンの研究成果に注目。その驚くべき効果とは…


メラトニンと不妊については実に様々な研究がなされていますが、研究途上です。

山口大学の研究においては、卵胞液中のメラトニン濃度と卵の質についての研究がされているので紹介します。

松果体ホルモンであるメラトニンは、内分泌作用だけでなく活性酸素などのフリーラジカルを消去する抗酸化作用があることが知られています。

また、メラトニンは卵胞液中に高濃度に存在しており、メラトニンが卵胞内において排卵過程で発生する活性酸素種を消去し、

卵や顆粒膜細胞を保護しているのではないかと考えるという前提の中で

マウス卵やヒト顆粒膜細胞を使った培養実験では活性酸素が卵の成熟や顆粒膜細胞のプロゲステロン産生を抑制しますが、

メラトニンはこれらを抑制する作用が確認されたのです。

また、卵の質が不良な体外受精患者にメラトニンを投与すると、卵胞液中の酸化ストレスが軽減し、卵の質を改善させることができているのだと報告しています。

参考:2009年4月4日 第61回日本産科婦人科学会学術講演会

こうした研究によって、卵の質に問題がある可能性がある患者を対象とした研究によって、

メラトニンを摂取したグループとメラトニンを摂取していないグループでは、2倍の妊娠率の差があったという報告がされています。

(摂取し他グループ19.6%:摂取しなかったグループ10.2%)

つまり、メラトニンに期待される効果は、

排卵過程において、酸化ストレスが生ずると卵の成熟を妨げるところを

メラトニンが卵胞内で抗酸化物質として働き、卵を保護していることによって

実際に卵の質を改善、受精率や妊娠率の向上につながるというものです。

というものです。

ただし、メラトニンはビタミン剤などと異なり、ホルモンですから医師の指導の下で扱うことが必須となりますし、

まだ研究途上にあることを理解した上で使用することが肝心です。

 

良い睡眠を得ることが妊娠しやすい環境を作る!良い睡眠を得るためのポイントとは


良い睡眠をしっかりとって生活リズムを整えることで妊娠しやすい体づくりをしましょう。

ポイントは、

「規則正しく(12時までに)眠る、その際には暗くして眠る」

 

その際に、空腹で寝ると睡眠が妨げられてしまうので、

ダイエットで夕食を抜いたりしないこと

これも重要なポイントです。

 

また、カフェインの入った飲み物を摂ると寝つきが悪くなったり、

夜中に目が覚めたり睡眠が浅くなったりしますので、

睡眠の4時間前くらい前からカフェインは控える

ようにするとよいのだと言います。

 

また、睡眠に入る一時間前くらいにお風呂に入ると、体温の低下がスムーズに起こり眠りにつきやすくなります。

4043度のお湯で足湯を行うのも効果的と言われます。

そして、

「朝は決まった時間に起き(睡眠時間にかかわらず)、起きたら必ずカーテンを開け朝日を浴びるようにしましょう。」

それによってメラトニンの分泌が完全に止まりメリハリがつくようになります。

 

いかがでしたか。

今日からでも簡単にできる睡眠対策、まずは知ることから始めましょう。

 

妊活ノート編集部

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