不妊治療は危険なのではないか?と考えられる人がとても多いと聞きます。
実際に寄せられる質問には、不妊治療によって奇形になってしまう率はどれくらいか?とか
不妊治療によるリスクについてのものが多くを占めます。
今回は男性不妊における内容をレポートします。
射出精子と非射出精子、どちらが安全?
これはベルギーの論文データで、3,000名超の児を対象に「射出精子と非射出精子とによる差」がないかを調べたものです。
非射出精子とは、例えば無精子症でTESEによって精巣から取り出した精子と考えれば分かり易いでしょう。
具体的には、単胎・双胎・品胎の率、それぞれの死産率、早期新生児死亡率(生まれて7日以内の死亡率)、出生時体重、染色体異常率、主な奇形率などです。
それによると両者間に有意差は認められませんでした。
つまり、非射出精子であったとしても児は健康であり、たくましく育っていくというものです。
参照元:Neonatal outcome of 724 children born after ICSI using non-ejaculated sperm:Human reproduction Vol.26,No.7 pp. 1752-1758,2011
生殖医療専門医かつ泌尿器科医を探すことが大切
治療後の安全性はあるわけですので、あとは治療自体を安全かつ有効に行えるかどうかが極めて重要です。
男性不妊の手術は極めて特殊な技術を用いますし、また男性は非常に心理的にも繊細です。
そのため、きちんとした有資格者に手掛けていただくことがまずは大切です。
ただし、全国で探しても生殖医療専門医は596名おり、そのうち泌尿器科医となると、45名程度しかいないのが実情です。
加えて、夫婦で治療できるかもポイント
加えて、いかに腕がよいドクターといっても、夫婦が同時に治療できないことは
実はデメリットが大きいのです。
情報の共有や精神的なものだけでなく、治療効率という観点から見てもそのように言われます。
なぜかというと、仮に精巣から精子を取り出したとしても、その治療施設で奥様も治療できなければ、
「精子凍結」する必要があります。
胚凍結とは大きく異なり、凍結したのちに融解することで50-80%の生存率となります。
いくらオペがうまくいったとしても、精子自体の生存率が低下してしまうことはもったいないといえます。
射出精子と非射出精子での安全性の差は現在認められていないですが、
担当する医師や病院による治療成績の差は大きいため、見極める必要があります。