セミナーでもよく出る質問の一つにアルコールについてのことがあります。
年齢を重ねるとともに、アルコールとの距離感は近くなりますが、不妊で悩む方々にとっては、
「アルコールを飲んでも大丈夫なの?」ということについては、少々気になることでしょう。
飲みすぎは不妊どころか、健康上のリスクにかかわる話であるため論外ですが、
妊娠前についての影響は正しく理解しておく必要があります。
カフェインとアルコールについては、カウンセラーの記事にもありますのでぜひご覧ください。
日本における飲酒のガイドライン
「1日平均で20グラム程度」というのが日本の基準で、これを1単位としています。
実際の飲み物に置き換えると、
ビール中瓶1本(アルコール度数5%)
ワイングラス一杯(アルコール度数14度)
ということになります。
厚生労働省の提言にも週に2日は休肝日とありますので、週に5日ということになります。
ただ、不妊治療中の方限定の基準というものは示されていないのが実情です。
アルコールを飲んだほうが妊娠しやすい?!飲んだほうが不妊になる?結局どっちなの?
アルコールと不妊の関係は様々な論文での記載がされており、
「アルコールを飲むと妊娠しにくい」というものもあれば、
「アルコールを飲むほうが妊娠しやすい」というものもあり、
結論付けるのは非常に困難なものです。
アルコールが不妊に悪影響を与える、とする説
スウェーデンで発表されている論文では、7000人以上のデータから、
毎日アルコールを摂取する方と週の半分ほど摂取する方とで比較を行い不妊症リスクが58%高いと発表しています。
アルコールを飲むほうが妊娠しやすい、とする説
デンマークの論文では、適量ではありますが毎日アルコールを摂取する方は、
全く飲まない方に比べて妊娠しやすくなったというデータを発表されています。
このようなことからも「○○くらいが適量」というのを定義するのは難しく、
不妊のリスクというのアルコールだけに原因を特定するのは限界があります。
例えば、食生活の違いや喫煙率の違いなど別の角度でのさもあり、アルコールだけを悪者にはできません。
そのため、厚生労働省の規定している1日20ml程度という基準値の中で摂取される分には大きな問題はないと結論付けられています。