タイミング療法を実施している方から多く寄せられる質問の一つです。
いくつかの観点から解説していきます。
機能的・年齢的な問題は?男性不妊の検査は?
タイミング療法自体は、最も自然な形で行うことができる治療であり、非常に良い考え方だと思いますが、
基礎的な内容として、機能的な問題や年齢的な問題はないかということが挙げられます。
よくある一つの盲点としては、男性不妊の検査をせずにトライしてしまっていることです。
男女ともに不妊要因は半々あり、加えて年齢要素の影響を受けます。
最適な治療法としてタイミング療法なのかは一度整理してみるべきでしょう。
そのためには基礎的な検査を受け、不妊原因を理解しておくことが良いと思われます。
タイミング法に対しての誤解
不妊でない方が、通常に夫婦生活をもっていたとしても、妊娠率はおおよそ20%と言われます。
生物学的に考えると、決して可能性が高いとは言えません。
そこででてきたのがこのタイミング法なのですが、誤解も多くあります。
タイミングを取らないと妊娠できないか、あるいは、タイミングを合わせれば必ず妊娠できるのかと言われると、
決してそんなことはありません。
確率的に考えた際に、
妊娠しやすい日は存在していて、同じ回数性交渉を持つのであれば、よりその日に近い方が効率的である、
というのがタイミング療法の根本的な考え方です。
タイミング療法を始めた方の中には、
セックスが楽しくなくなってセックスの回数自体が減ってしまうカップルや、
男性の一時的なEDを引き起こしてしまうなどのトラブルもあります。
大切なのは頻度とタイミングであり、タイミング療法によって、
回数が低下してしまうようでは本末転倒なのです。
そのため、不妊治療を始めたばかりの方に向けてよくお伝えするのが、
「可能な限り頻度高く、性交渉を持ってください」
という事なのです。
より自然にという考え方もある
妊娠しやすいタイミングと妊娠しづらいタイミングがあるにも関わらず、
昔の人は普通に妊娠ができたのか、という素朴な疑問がありますが、
そのヒントとなる論文が一つあります。
On the frequency of intercourse around ovulation: evidence for biological influences A.J. Wilcox, et al. Hum Reprod. 2004 Jun;19(7):1539-1543
この論文はアメリカで68組のカップルを対象に調査したものですが、
3カ月間セックスの記録を付けてもらったところ、
排卵時期にセックスの頻度が24%高くなった
という結果を得ています。
これは、女性の性欲は、妊娠しやすい時期に高まることというメカニズムが関係しているようです。
そのため、タイミングに躍起になって、夫婦が互いにストレスを感じるよりも、
お互いに自然体で愛情を確かめ合う時間も必要なのかもしれません。