新鮮胚移植とは?
新鮮胚移植とは、1回の生理周期で採卵から胚移植までを行うことを指します。
セミナー等も行っていて、よく出る質問でもありますが、
「新鮮胚移植」を行うメリットはあるのか?というものです。
確かに現在多くのケースにおいて、凍結融解胚移植が選択され、それによって出産につながるケースも最も多いです。
そうした中でも、確かに新鮮胚移植で行うメリットは確かにあることを説明していきます。
受精卵にとってより自然な環境へ
新鮮胚移植を行うということは、採卵した数日後に受精卵を体内に戻すということです。
つまり、受精卵の視点から考えると、本来あるべき体内により早く戻るということです。
培養環境等は最善のケアのもとで管理されているものの、より自然な環境に近い方が、
受精卵にとってのストレスが少ないとも考えられます。
実際に、凍結によるストレスを強く受けがちな方などは、
新鮮胚移植の方が妊娠率が高いというような例もあるようです。
一般には、日本産婦人科学会のデータにもあるように、新鮮胚移植の方の着床率が20%、凍結融解胚移植では35%といわれています。
一方で、卵巣刺激等を行い、子宮内膜のが着床に適さない状態の方も多くいるため、
その際にはやはり凍結融解胚移植が選ばれることが多いのではないのでしょうか。
現在では当院でも実施していますが、タイムラプスシネマトグラフィというシステムを活用し、
受精卵へのストレスを軽減しながら培養していく環境づくりをしています。
また、費用的な面で考えても、新鮮胚移植を選択したほうが、凍結→融解する費用が掛からないため、
費用的には安価となるケースがおおいように思います。
大切なのは妊娠できるかどうか、自分が納得のできる決断を
それでもなおここで気を付けておきたいのは、移植をするにあたり、妊娠するのに重要なことは
新鮮か凍結か
ではなく、
着床できるかどうか
が重要な要素です。
実際に、年齢とともに高まる流産率の要因は胚の染色体異常にあることがわかっていますし、
体外受精で何度も受精するのに、移植しても妊娠成立することがない方もいます。
着床できなければ妊娠は成立しないため、最も着床率が高まる方法から考えることはごく自然なことでもあります。
また、繰り返して体外受精後に移植しても着床しない、あるいは凍結融解胚移植を行っても着床しないという方は、
子宮内膜受容能検査(ERA)などによる子宮内膜の要因を考えることもできます。