妊娠率について解説します。
年齢によって、あるいは不妊治療のステージによって異なるため、
一つずつ整理していきましょう。
不妊症でない場合でも20%
10代や20代の頃は、妊娠はいつでもできて、性交渉があれば必ずできてしまうのだと
思っていた方も少なくないかもしれません。
また、月経があるうちは子供ができると思っている方も多いと聞きます。
しかし、実際には、ヒトはそもそも生殖能力が低いと表現されることが多くあります。
実際に不妊症でない方の妊娠率で20%とされています。
比較すべきかどうかは別として、ネズミの妊娠率は100%、チンパンジーで70%とされますので、
人間は元来妊娠しにくい生物といわれるのもうなずけます。
ドイツの研究でも明らかになっていますが、毎月妊娠を希望して性交渉をしていれば1年でおおよそ90%が妊娠に至ると考えられます。
この90%という数値は「累積妊娠率」というものです。
日本産婦人科学会の不妊症の定義も1年という数値であり、
全体のおおよそ10%が不妊症といえます。
そしてこの妊娠率は、年齢とともに大きく低下し、40歳前半で約5%となります。
不妊症が加齢症の側面が強いとされるのはこのように女性の妊娠率が年齢による影響を多大に受けてしまうからです。
つまり年齢が若ければ不妊で悩むことがなかったはずなのに、といえる方があまりにも多いのが実情なのです。
治療によって妊娠率を高めていく
実際に不妊で悩み、不妊治療へと入られる方には、事前に知っておいてほしいのが
一般的な治療別の妊娠率です。
不妊症である場合、タイミングでの妊娠率はわずかに2%
不妊症である時点で、何かしらかの要因があると考えられます。
日本での平均の年間の性交渉回数は45回というデータがありますが、
楽観的にとらえ、累積妊娠率として試算しても1年間でもまだできないということになります。
人工授精でも最大15%
不妊症でないカップルの妊娠率が2-30%とされる中で、人工授精と卵巣刺激も行った場合で15%程度とされます。
通常の妊娠率のおおよそ半分です。
体外受精で初めて通常の妊娠率を超えてくる
体外受精となると、妊娠率はようやく30%を上回ります。
もちろんこれらすべての数字は夫婦の年齢を重ねていくほどに数値は低下していきます。
こうした妊娠率という確かなデータを前提に治療計画はもとより人生計画を夫婦でよく話し合われることが重要です。