ここでは、受精後、着床に至るまでの解説をしていくとともに一度情報の整理をしましょう。
妊娠のメカニズム-前半-も含んで考えると、女性が出産をするまでには、
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受精
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着床
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出産
というステージに分けることができ、「受精と着床を合わせて妊娠」と考えるのが通常です。
着床するまで確認できない!?
性交渉を持った結果、無事に受精し、その受精卵が発育し、胚盤胞となって、子宮内膜に着床しますが、
それぞれ以下のステップに分かれます。
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受精卵が卵管を進む
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受精卵が胚盤胞に育つ
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子宮内膜に着床する
というものです。
この中で大切なのは、そもそも通常の検査等では、
確かに受精したのか、
卵管の中を問題なく進んでいるのか、
胚の分割は正しく行われているのか
ということは確認するすべがなく、結果着床したことをもって、異常がなかったと確認するしかないのです。
体外受精などの高度な治療は、この通常見ることができないものを体外で行うことで見えるようにしており、
受精確認や胚の分割プロセスの可視化、そして卵管を通さずに子宮内膜へ着床させることができるため、高確率での妊娠成立につながりやすくなるといわれるのです。
着床するまでの流れ
受精してからおおよそ10日をかけて、受精卵は精子が進んできた道を引き返すように、細胞分裂を繰り返しながら進んでいきます。
そして、子宮内膜の状況に合わせて、成熟し「胚盤胞」となった受精卵が着床します。この一連の流れが着床です。
なかなか着床しにくい、という方に考えられるのは
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受精卵が胚盤胞に分割していく過程に問題がある
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子宮内膜に問題がある
などが考えられます。
①については、一般不妊治療においては、体の中での出来事であるため確認することができませんが、
体外受精などの高度生殖医療に関しては、この胚分割の過程を確認したり、成熟した胚盤胞に染色体の異常がないかを確認する方法があります。
また②の子宮内膜の状況を確認するには超音波検査を用いることが一般的です。
超音波検査によって、子宮内膜の厚さ、子宮筋腫の有無、子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢腫)の有無を確認します。
着床をサポートするための身体づくり
こと一般不妊において、こうすれば確実に着床率が上がるという方法は確立されていません。
しかし、生活習慣の中で明らかによくないことであったり、少しでも良くしていくために推奨できることはあります。
適度な運動
様々なところで記載されますが、適度な運動により血流をよくしておくことがよいとされます。
女性の身体に冷えは厳禁ですが、過剰な負担がかからないように、軽めのウォーキング、ランニングやヨガなどの有酸素運動がおすすめです。
食事
緑黄色野菜は進んで摂取した方がよく、特に体のめぐりによいとされるもの、ショウガ、ニンニク、玉ねぎやゴボウなどはすすんで
とるのがよいでしょう。葉酸も妊娠前から摂取しておくことがよいとされています。
禁煙
喫煙による女性の卵子の質の低下、流産率の上昇、出産児への異常等は多く報告されています。
本気で妊娠するつもりであり、より確率を高めたいなら真っ先にやめるべきです。
飲酒とコーヒー
飲酒は適量であれば血行促進にもつながるため問題ないとされています。
適量としては、20グラムといわれますが、これは10%に希釈した場合で200グラムですから、
ビール等が概ねアルコール5%だとすると、ビール缶一本分程度と記憶するとわかりやすいでしょう。
また、コーヒーについても1日2杯までとされています。
コーヒーに含まれるカフェインが体を冷やしやすいほか、利尿効果も高いため、水分を外に出すたびに体温が低下していきます。
そのため適量に保ち続けることがポイントです。
ストレスをためないこと
ストレスが具体的にどのような影響を与えているのかを証明できるものはなかなかありませんが、
妊活や不妊治療自体、人生をより楽しむためのものですから、ストレスがより少ない状況の方がよいでしょう。
不妊治療は短期的に済むこともありますが、長期的に取り組むことも多くあります。
間違った知識をもって時間を無駄にすることなく、自分たちが納得できる選択をしていけるように
正しい知識を身に着けていくことが重要です。