妊娠は人間最大の不思議といわれます。
不妊について知るには、妊娠について知ることから始めなければなりません。
妊娠するためのプロセスのどこかにおいて問題があるために不妊となると考えられるからです。
前半:射精から受精まで
ここでは女性の体の仕組みを知るのではなく、妊娠の流れを知るということになります。
夫婦共同で学んでいただきたい知識であることをご理解ください。
①膣(射精)
ここからすべてがスタートします。
性交渉時に射精された精子が子宮奥の卵管に向かって進んでいきます。
この時点で不妊の要因になる可能性は、
- 男性の精液の所見に問題がないか
- そもそも性交渉ができているか(勃起不全などの症状)
など男性側の要因を求められることが多くなります。
この時点で男性の治療への参加が遅れてしまえば、誤った治療計画の元でいたずらに時間を消費してしまいかねません。
そのため、早い段階での男性参加が求められているのです。
例えば、この時点で男性が無精子症だとわかっていて、手術が必要な症状の場合、
一般不妊治療を何度繰り返しても妊娠に至る可能性は極めて低く、
逆に早期に治療を行い精子回収ができれば半数以上の方で妊娠に至るケースも少なくありません。
(無精子症だとわかった後は治療が速やかに進み、女性が若いうちに採卵・出産まで行くケースが多いのだといいます)
②子宮頸管を経て子宮、そして卵管へ
射精された精子は、頸管粘液(おりもの)の補助を受けながら卵管に向けて進んでいきます。
図でいう①と②の間の細い管が子宮頚管です。
ここで頸管粘液のサポート受け、一気に卵管の方まで進んでいきます。
ここで不妊の元となる症状としては、子宮頚管粘液における異常が考えられます。
フーナー検査という検査を行う中でわかりますが、精子の推進をサポートする頸管粘液に問題がある場合、精子は卵管まで到達することができなくなるのです。
このフーナー検査は性行後検査ともいわれ、排卵日を特定し、その前日の夜もしくは翌朝に性交渉を行い、
検査にて頸管粘液を採取して、その頸管粘液内に動いている精子がどの程度いるのかということを確認します。
ここでも男性の協力があっての検査となります。
③卵管へ
卵管は両側にありますが、そのいずれかに向けて精子が進んでいきます。
おおよそ10センチから12センチ程度あるとされる卵管は、精子という物質から見れば非常に長距離といえるかもしれません。
ここで問題になるのはいわゆる卵管性不妊です。女性要因の不妊症の2-30%近くを占めます。
卵管のつまりや狭窄・癒着などが発生している場合、卵子の待つ卵管采の方まで進むことができずに結果、受精に至ることがありません。
ここでは卵管の通過性を確認することが重要とされ、一般には子宮卵管造影という検査を行います
④排卵
妊娠する、受精するためには当然排卵が正しくなされていなければいけません。
卵子は卵巣内で卵胞という状態で成熟していき、毎月一つ排卵されます。
ここで確認をしなければいけないのは、適切に排卵されているかどうか、
加えて、卵巣のコンディションについて知っておくことが大切です。
男性と異なり、女性の卵子というのは有限であるため、残されている卵子の数を把握することは重要なのです。
排卵障害を知るために超音波検査・ホルモン検査・基礎体温測定などを行います。
排卵障害の原因となることとして、
多嚢胞性卵巣症候群や高プロラクチン血症、ホルモンバランスの低下、子宮内膜症、早期卵巣不全などが挙げられます。
原因によって、対応方法は全く異なると言ってよいほど変わります。
自分がどのタイプの排卵障害に該当するのかを確認し、対応する必要があります。
⑤ピックアップ障害
上記の①-④で異常がない場合に考えられるのが、このピックアップ障害というものです。
別名、キャッチアップ障害(卵管采不全)とも言われます。
ピックアップ障害になってしまう原因自体はわからず、原因不明不妊とも言われており、
これが不妊における全体の2-3割程度を占めるとされます。
排卵されているにも関わらず、常に受精に至らない場合、うまく卵管采による捕獲がなされず
精子と卵子が出会うことがないと状況です。
ピックアップするところ以外の機能は正常であるため、体外受精等の方法にステップアップすることで、高い妊娠率は望めますが、それも年齢次第でもあります。
ここまでが前半です。
非常に大変なことですが、まずはここまでを理解したうえで、どうして妊娠(受精)できないのか。
夫婦での共通の答えを見つけ、前向きな妊活にお役立てください。
つづいて、後半は「妊娠のメカニズム後半 ~受精から着床まで~」です。