コラム

不妊症に対してのビタミンDの効能について

様々な観点から、妊娠しやすい体づくりに合わせた栄養素が紹介されていますが、

ビタミンDについてはご存知でしょうか。

実は医学的に検証されている成分なので要チェックです。

 

ビタミンDの一般的な効能とは?どんな特徴があるのか?


ビタミンDと調べてみると

ビタミンDは、活性型ビタミンD(カルシトリオールまたは、1,25-ジヒドロキシコレカルシフェロール)として、次の方法により血中のカルシウム(Ca2+)濃度を高める作用がある。

  1. からカルシウムの吸収を高め血中濃度を高める。
  2. 腎臓の働きによりカルシウムの血中から尿への移動を抑制する。
  3. から血中へカルシウムの放出を高める[1]

また、ビタミンDは免疫反応などへの関与も示唆されている。作用機構および機能の多様性から、ビタミンAとともにホルモンに分類されることがある。

ビタミンとは人体で合成できない微量栄養素という意味である。その観点からはビタミンDはコレステロールから人体内で合成ができるためビタミンではないという意見もある。

しかし、消化管からのビタミンDの吸収が低下すると容易にビタミンD欠乏症になることから外因性のビタミンDは不可欠である。

Wikipediaより抜粋 https://goo.gl/m4aUcu

一般的にビタミンDは、

  • 骨を強くする

というような効果で知られています。

そのビタミンDが不妊とどのような関連性があるのでしょうか。

 

不妊とビタミンDをデータから読み解く


要点を整理する

面白い論文があります。

参考文献:Fertil Steril 2014; 101: 447-452

この論文内においては、2012年からの1年間ほどのデータで、対象者は368人を対象に

「ビタミンD不足であることで妊娠率に変化はあるか」

を調査したものです。

血中ビタミンDは、20 ng/mL未満を不足、20~30 ng/mLが不十分、30 ng/mL以上を十分としています。

 

結論から言えば、不足群とその他を比較したところ、

(不足群:充足群)

妊娠率:41% vs 54%

出生率:35% vs 48%

と、いずれも不足群で有意に低下していたというものです。

 

また、専門的なロジスティック解析という方法によって、ビタミンD以外の要素を排除し、

ビタミンDだけがどの程度影響したのか、を解析したところ

ビタミンD不足の場合、妊娠率は0.61倍になるとの結果になりました。

不十分であることでは大きな差はありませんが、ビタミンDが不足してしまうと大きな妊娠率の差につながるというのです。

まだある!ビタミンDの影響


ビタミンDの不足は、妊娠率だけでなく、

  • AMH(卵巣予備能力)の低下、

  • 耐糖能(糖尿病の素因)

  • 流産率の上昇

とも関連しているといわれています。

 

そのほかにも、

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方はビタミンDの濃度が低いこと

PCOSによる排卵障害の女性はビタミンD補充によって排卵率が上がる

というような報告が多くの論文でもなされています。

参照:多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは・・・

 

多ければ多いほど良いということではなく、ビタミンD欠乏症のような状態にならないことが大切です。

 

どうすればいいの?効果的なビタミンDの摂取方法


ビタミンDは体外から摂取する部分と、体内で合成される部分があります。

(この特性のために、ビタミンDはビタミンではなく、ホルモンだという方もいます)

ビタミンDが豊富にとれる食べ物といえば、魚(特にアンコウ、鮭、サンマ、ウナギ、マグロ)、キノコ(キクラゲ、シイタケ)、

魚卵などに多く含まれることで知られています。

また、大切なこととして、体内で合成をするために、一日30分「日焼け止めをせずに」日光に当たることも挙げられています。

紫外線が気になる方や、シミしわが気になるという方にとっては嫌な内容かもしれませんが、

どうしても難しい場合には、マルチビタミンをはじめとしたサプリメントで補うとよいでしょう。

 

繰り返しになりますが、過剰摂取も体にとって良くない成分ですので、不足であることを診断してもらい、

その結果に基づいて食改善等々行うのが望ましいといえます。

 

なお体外受精などのART治療との関係性は以下で解説しています。

ビタミンDとART治療(体外受精)の成績について

 

 

妊活ノート編集部

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