2018年7月27日更新
最近、活性酸素については非常に活発な研究が行われています。
当院でも新たな研究を以下で紹介しています。
様々な器官や成分などの関連性が指摘される不妊治療ですが、最近ひときわ注目されている
ミトコンドリアとコエンザイムQ10について解説します。
ミトコンドリアとは?コエンザイムQ10との関連性は?
私たちの身体(細胞)は、食事から得た糖質、脂質、たんぱく質を直接エネルギーとして使うことはできず、
ミトコンドリアを介してこれらの栄養素をエネルギーに変換する必要があります。
変換され私たちの細胞が使えるようになったエネルギーを一般的にATPといいます。
そのため、ミトコンドリアは細胞の中にある「(火力)発電所」という表現をされます。
この発電所では糖、脂肪、タンパク質(原料・材料)をミトコンドリア内で燃やしATP(エネルギー)を作り出します。
この発電所を動かすのに必要なのがコエンザイムQ10です。
ミトコンドリアにとっての動力となるとイメージするとわかりやすいかもしれませんね。
ミトコンドリアとコエンザイムQ10(CoQ)の働きは?
(脂溶性の)抗酸化物質としての一面で、この働きは特にミトコンドリアにとってとても重要です。
上の例に戻ると、ミトコンドリアは火力発電所です。
そのため、非常に大量の酸素を燃やします。
この燃焼のプロセスで多くの活性酸素(フリーラジカル)が副生産物として発生します。
ミトコンドリアのDNAは防御機能を持ち合わせてないことから、このフリーラジカルからの攻撃に非常に弱く、
それによってDNAが突然変異する危険性があります。
突然変異したDNAのミトコンドリアはエネルギーの生産ができなくなります。
ミトコンドリア内で発生した活性酸素を無毒化することができる
それがコエンザイムQ10の大切な役目のひとつです。
不妊とミトコンドリア、コエンザイムQ10の関係
卵子の機能低下とミトコンドリアの機能低下との関連性も古くから研究されております。
老化卵子では、ミトコンドリアの機能が低下していることが多くみられます。
参照元:Coenzyme Q10 restores oocyte mitochondrial function and fertility during reproductive aging. Aging cell, 2015.
損傷をうけ機能不全に陥ったミトコンドリアを持つ卵子は、
核移植や細胞質置換により機能が修復され、その後の発生能が改善されるということも示しました。
対象が「マウス」となるため、参考として考えるのが妥当と思われますが、
この論文ではミトコンドリアの機能低下がCoQを投与することにより、修復されるかを研究しています。
老化したマウスの卵子では、ミトコンドリアの機能が低下していること、
紡錘体という染色体の分離を行う装置の形態異常が起きていることなどを様々な実験で示し、
引き続く実験ではCoQを継続的に、ある意味予防的に長期投与することにより、
老化により引き起こされる卵胞数や排卵数の減少を抑えることができ、
結果産仔(生まれる子供)数も増え、老化の影響を抑えることができたという結果を報告しています。
コエンザイムQ10をどのように摂取するか
通常コエンザイムQ10は食事から取り入れることがほとんどできるものではなく、
体内で生産されるものですが、年齢による影響を大きく受けることで知られています。
20歳に比べ40歳では68%のコエンザイムQ10しか生産されなくなります。
そうなると、サプリメント等を活用しながら、摂取しようとなるわけですが
コエンザイムQ10は活性型(還元型)のコエンザイムQ10に体内で変換され効果を発揮しますが
加齢によりコエンザイムQ10の変換率は下降していきます。
そのため、コエンザイムのサプリメント等を選ぶ際には、還元型コエンザイムQ10やナノ化されたものなどを選ぶのもよいといわれます。
こうした毎日のちょっとしたことからでも、妊活は始められます。試してみてはいかがでしょうか。
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