コラム

仕事と治療の両立について

不妊治療は「通い」の治療となることも多く、仕事をしながらの両立は大きなテーマです。

当院の患者さまでも仕事をしながら治療に取り組まれる方が多数いらっしゃいます。

 

実際に、不妊治療に通われる方の年齢は3-40代であり、大学を卒業して10年前後たち、

キャリアとしても非常に脂がのっている時期といえると思います。

そんな中での不妊治療、どのようにして両立ができるのでしょうか。

編集部がまとめてみました。

 

ほとんどの人が両立は困難だと感じている


実に9割以上の人が「仕事との両立は困難である」と回答しています。

 

外部参照:東洋経済 不妊治療中の女性9割が悩む「仕事との両立」

 

90%以上の人が両立に困難を感じているのがまぎれもない事実です。

昨今、自己注射の実施や夜まで空いているクリニックなども増加している中で、なぜ困難であり続けるのでしょうか。

 

予定は未定? 主役が「卵」であることの難しさ


不妊治療の主役は卵です。女性でも男性でもなく「卵」である、ここが最大のポイントです。

女性の場合、毎月同じ日付に生理が来ること自体がまれであり、

1-2日程度のずれなら当たり前のようにあります。

 

しかし、そのタイミングを逃すわけにはいかないのが不妊治療です。

 

つまり「先の予定」が非常に見えなくなるのです。

 

仕事をしている身で、度々、突然の遅刻や欠勤を余儀なくされることを想像してみてください。

それだけでもとても大変なことがわかるかと思います。

 

クリニックは増え、時間も遅くまでやっているのになぜ?


日本は世界で最も不妊治療施設が多くあります。

相性のよい先生を探すことも難しくなく、夜まで診療を行うクリニックも最近は増えました。

「通院」へのストレスは軽減されているはずです。

にも拘わらず、90%以上の方が両立に困難を感じているのはなぜでしょうか。

 

実際に不妊治療を行う施設にいけばよくわかりますが、

夜に診療できるとしても、そこでできることはまだまだ少ないという現状があります。

 

例えば体外受精を行うとしたら、採卵や移植という大きなスケジュールが出てきますが、

このメインのものはAM、午後一番などクリニックによって、時間が指定されているのです。

つまり、通いやすさをいかに高めても、それによって両立につながっている部分は乏しいといえます。

 

実際に先述のアンケートでも4割以上の方が

「退職を含む何らかの勤務形態の変更を行った」

という回答が得られているのだそうです。

 

両立に対しての考え方


自分自身でさえコントロールできない「卵」を主役としている以上、

長期にわたって両立を続けるのは困難です。

 

パートナーや職場の方の積極的なサポートもとても大切ですが、

サポートする側にも一定の負担がかかることを考えると、いかに早く卒業するかということも考える必要があります。

 

治療を行うことを優先的に考えるのであれば、

長期的に両立させる「横」の考え方、と

短期的に両立させる「縦」の考え方

があるように思います。

 

一つの考え方と捉えていただければよいと思いますが、

卵を主役としているステージは体外受精でいうところの「採卵」が主です。

卵巣刺激などもあるため、身体的な負担も大きなものです。

参照:体外受精における卵巣刺激とは

 

この採卵までを一定個数が取れるまで集中的に行い、胚盤胞を蓄積したとします。

 

そうなると、あとは子宮内膜のコンディションを見ながら移植を決めていくため、

予定調整などの負担は比較的軽くなります。

参照:凍結融解胚移植

 

正解がある問題ではありませんが、不妊治療はあくまでも人生におけるプロセスでしかなく、

その先の時間にこそ多くを費やすという視点も大切なことだと思います。

 

短期的に治療を成功させるためにはどうすればいいか。

という視点も取り入れてみると、新たな選択肢が広がるのではないでしょうか。

 

妊活ノート編集部

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