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PRP療法

当院ではPRP療法を実施しています。

最近ではスポーツ選手の治療であったり、美容であったり、様々なところで再生医療の一つとして注目されているPRPとはいったいどのようなものなのでしょうか。

誰もが手や指、足などをけがしてしまったときに、出血が止まり、かさぶたができ、やがて治っていくという経験をされたことがあると思います。

この一連の治癒の過程に大きくかかわっているのが、「血小板」です。

血小板から組織修復を促進する物質が供給され、傷んだ組織を元通りに直そうとする働きをしています。

自分の血液を必要量とり、特殊な技術で血小板が多く含まれる部分のみを抽出したものが、

PRP(Platelet-Rich Plasma)

です。

PRP中には成長因子が豊富に含まれますので、これを子宮内に注入することで、

子宮内膜の組織修復が促進されて、子宮内膜が厚くなることや子宮内膜環境全般が改善する効果が期待できます。

不妊治療の成功要因は受精卵側が7割程度、子宮内膜側の要因が3割とされていますが、

子宮内膜側の要因は様々な治療や検査の方法が模索されており、PRP療法には大変注目が集まっているといえます。

対象

  1. 当院にて人工授精または胚移植を予定している患者さま
  2. 子宮内膜が厚くならない患者さま
  3. 反復して治療不成功の患者さま

除外対象

  1. 血球検査によりヘモグロビンHbの値が11g/dLに満たない方
  2. 血小板数量が150,000/μLに満たない方
  3. 抗凝固剤薬を投与中の方
  4. がん治療中の方
  5. HBV, HCV, HIV, HTLV-1の感染が陽性である方
  6. その他再生医療を行う医師が不適合と判断されている方

方法とスケジュール


来院時に20ccの採血を行い、採取した血液を遠心分離にかけ、PRPを調製します。

その後、PRPを子宮内腔に注入します。

1回目は、月経開始から10日目前後、2回目は月経開始から12日目前後に行います。

先行研究の結果:期待される効果

昨年開催された日本産科婦人科学会において発表されたデータを以下に紹介します。

【方法】

2019年3月から9月に難治性不妊症患者40人にPRP療法を実施。

平均年齢は41.1歳(32-51歳)、PRP投与は移植周期9-10日目に1回目、その48時間後に2回目を施行した。

【成績】

平均子宮内膜厚は、PRP投与前6.0±1.89mmに対して、PRP投与後7.5±2.46㎜で有意に増加した。

妊娠例は40例中、9例(22.5%)あり、内膜肥厚が観察されない症例でも妊娠例が見られた。

有害事象は1例で、子宮内膜症性嚢胞合併症例の子宮内膜炎であった。

まだまだ始まったばかりですが、様々な期待がされているPRP。

最近ではPFC-FDというものも出てきましたし、子宮に注入するだけでなく、

卵巣の注射し、卵胞発育を促進するような試みも行われています。

今後様々に紹介していければと思います。

妊活ノート編集部

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