先日、4月16日に東京・品川にて当院主催の第7回妊孕性温存に関する講演会を実施いたしました。
2016年から講演会をはじめ、年々ご興味・ご関心をお持ちいただける方々が増え、
今回は80名以上の参加者にお集まりいただくことができました。
ご参加くださいました皆様には心から御礼申し上げます。
どちらかと言えば、医療者向けの講演会ではありますが、
簡単に内容を紹介させていただければと思います。
卵巣組織の摘出について
座長:山王病院 院長 堤治先生
講師:川崎幸病院 婦人科部長 長谷川明俊先生
第一部では、現在考えられる卵巣摘出のベストな方法についての発表がされました。
通常の卵巣摘出と大きく異なる条件として、
その後卵巣組織切片を移植することが念頭に置かれること
が考えられます。
そのため、摘出のしやすさのみならず、ある程度移植のことまでを視野に入れて、術式を定める必要があります。
長谷川先生からは、ビデオを提供いただき、実際のOPEの進行について丁寧に紹介くださいました。
世界的に多いのは、片側1個の摘出、あるいは両側の半分ずつの摘出という方法です。
当院では、患者さんの状況に合わせて、どちらかを担当いただく執刀医の先生へ依頼する形式をとっております。
議論の中では、摘出後の卵巣組織をどのような大きさで、どのような凍結方法で凍結するのが良いのか、
という点についても活発なディスカッションが成されました。
次回以降のテーマにも良いように思います。
卵巣融解移植について
座長:京野アートクリニック高輪 理事長 京野廣一
講師:メディカルパーク横浜 院長 菊地盤先生
菊地先生は順天堂でのご勤務の時から先進的に卵巣凍結を手掛けられており、
これまで70例以上の卵巣組織凍結を実施されてきました。
日本でも有数の実績を持たれる方です。
実際に、2件の移植例についてご紹介され、卵巣機能回復期間や現状の課題など様々にお話いただきました。
日本ではいまだに卵巣組織凍結→融解組織移植から出産に至った例がありませんが、
それが移植方法によるものであるのか、凍結方法、処理方法、あるいはそれ以外の問題であるのかはわかっていません。
当院では、FertiPROTEKTの指導を受けながら、現状の世界のBEST STRATEGYを実施できるよう検討を進めていきたいと思います。
次回は10月8日に、上述のFertiPROTEKTのM.Montag先生、J.Liebenthron先生をお招きして第8回の講演会を実施する予定でおります。
まだまだ妊孕性温存は道半ばでもあります。
私たちができる最大値を模索しつつ、その情報を参加者の皆様を共有し、切磋琢磨しながら進めていければと思います。