妊孕性温存について考える

不妊症の女性は癌になりやすいのか

不妊症の女性はがんになりやすいのか、

これまで様々な話がされていますが、特にホルモン受容体陽性のがんが多くなるなどの報告がされています。

非婦人科のがんなどについては、矛盾する報告も多く、未だに確証はありません。

 

アメリカのデータベースを使用した研究について紹介します。

 

不妊症の女性はがんになりやすい


今回紹介するのは、以下の論文です。

Risk of cancer in infertile women: analysis of US claims data

Gayathree Murugappan et al.,

Human Reproduction, dez018,13 March 2019

アメリカのデータベースを使用した研究で、2003年から2016年の間、不妊症の女性64345名と対照群3,128,345名のデータを比較したものです。

これによると、

まず全体的な平均として、不妊症の女性は、対照群と比較して、がんを発症するリスクが全体的に高かった(2.0対1.7%、調整危険率(aHR)= 1.18、CI:1.12〜1.24)ことが判っています。

さらに、子宮がんのリスク(0.10対0.06%、aHR = 1.78、CI:1.39〜2.28)、卵巣がん(0.14対0.09%、aHR 1.64、CI:1.33〜2.01)、肺がん(0.21対0.21%)のリスク、aHR = 1.38、CI:1.01-1.88)、

甲状腺癌(0.21対0.16%、aHR = 1.29; CI:1.09-1.53​​)、白血病(0.10対0.06%、aHR = 1.55、CI:1.21-1.98)および肝臓胆嚢がん(0.05対0.03%、aHR = 1.59、CI:1.11〜2.30)は、

不妊女性の方が高かったということが判っています。

 

がん自体の絶対的なリスクが高いわけではなく、かなり細かいところで比較すると上記のようなリスクがあるということです。

しかし、不妊治療中に乳がんや子宮体部がん、卵巣がんがわかるというケースは少なくありません。

妊娠を希望する時期と、現在の乳がんや子宮頸がん、子宮体部がんなどの罹患年齢が重なってきていることが一因と考えられていますが、

不妊治療を始める時には、できることならこれらの検査は受けていただきたいものです。

 

妊活ノート編集部

妊活ノート編集部

投稿者の記事一覧

妊活ノート編集部です。医療現場での当たり前を、より分かりやすい情報としてお届けします。正しい知識を得ることで、一日でも早い治療卒業のサポートをしたいと考えています。

関連記事

  1. 改めて考える精子の重要性
  2. タモキシフェン使用による妊孕性の低下の可能性
  3. 乳がんについての基礎知識 その①
  4. 第18回日本不妊カウンセリング学会 当院の鍼灸治療の取り組み
  5. 着床前スクリーニングのコストについて
  6. 子宮内膜スクラッチのメタアナリシスについて
  7. ビタミンD不足が妊娠中に与える影響について
  8. 肥満と不妊の関係について

ピックアップ記事

こちらも注目

PAGE TOP