妊孕性温存について考える

女児小児がん患者のその後の妊孕性について

小児がんはがん治療技術の発展に伴い、治療後の生存率が飛躍的に高まっています。

小児がんの多くは血液疾患などで、発覚後速やかな治療かつ侵襲性の高い治療が必要となる特徴があります。

治療技術の高まりによって、毎年1万人の小児がんサバイバーの方が増加していると言われていますが、

一方で、その治療の影響により妊孕性の低下が危惧されています。

現時点での最新の論文を紹介したいと思います。

 

女児小児がん患者のその後の妊孕性について


今回紹介するのは以下の論文です。

Uterine function, pregnancy complications, and pregnancy outcomes among female childhood cancer survivors

van de Loo LEXM et al.,

Fertil Steril. 2019 Feb;111(2):372-380

この研究では、がんサバイバーの方を放射線療法実施群55名、放射線療法未実施群 110名に分け

コントロール群110名と比較検討を行いました。

従来、小児がん治療によって80%以上の患者が妊孕性の低下があると考えられていましたが、

放射線療法の有無によって、また異なる点があることが確認されています。

その結果、以下のような点が認められました。

子宮の容積の現象(≦44.3ml) 

放射線実施群:51%(21/34)

放射線未実施群:39%(30/70)

コントロール群:19%(14/71)

 

妊娠合併症のリスク

放射線実施群:71%(10/14)

放射線未実施群:39%(13/33)

コントロール群:22%(8/37)

 

早産(<37週)のリスク

放射線実施群:43%(6/14)

放射線未実施群:27%(9/33)

コントロール群:8%(3/37)

 

低出生体重児のリスク(<2500g) 

放射線実施群:43%(6/14)

放射線未実施群:27%(9/33)

コントロール群:8%(3/37)

 

という点があることが改めて確認されています。

 

妊孕性の低下≒妊孕性の廃絶ではありません。

低下した妊孕性の中で、妊娠にチャレンジされるサバイバーの方は多くいらっしゃいますが、

その時、こうした点も含めて情報提供を親子ともに行い、

インフォームドコンセント、インフォームドアセントをしていく必要があります。

 

 

 

妊活ノート編集部

妊活ノート編集部

投稿者の記事一覧

妊活ノート編集部です。医療現場での当たり前を、より分かりやすい情報としてお届けします。正しい知識を得ることで、一日でも早い治療卒業のサポートをしたいと考えています。

関連記事

  1. 乳がんについての基礎知識 その①
  2. 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)とは
  3. 妊孕性温存の受精卵凍結の助成金がスタート
  4. 卵巣組織凍結融解移植について
  5. 第9回 日本がん・生殖医療学会 最優秀演題賞を受賞しました!
  6. 日本に必要な卵巣凍結を実施する拠点数について考える
  7. 長期間で見たときの小児がん治療が妊孕性に与える影響について
  8. がん治療と仕事の両立に向けて

ピックアップ記事

こちらも注目

PAGE TOP