黄体とは卵巣において排卵の後に形成される組織のことで妊娠の成立に必要なエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンを分泌します。
黄体からのエストロゲンとプロゲステロンの分泌不全により子宮内膜の脱落膜化が完全に起こらないもの、
あるいはプロゲステロンの標的臓器である子宮内膜の黄体ホルモンレセプター異常、
子宮の血流不全などにより黄体から産生されたプロゲステロンが子宮内膜に作用できないものを黄体機能不全といいます。
黄体機能不全になると子宮内膜の形成が悪くなるため、受精卵が着床しにくく、不妊の原因になります。
さらに、子宮の収縮を抑える黄体ホルモンが少ないため、流産しやすくなることもあります。
基本的には、基礎体温と黄体中期の血中プロゲステロン値から判断します。
基礎体温で高温相の短縮(<12日)、途中での陥落、低温(<36.7℃ または差<0.3℃)がある場合、
血中プロゲステロン値<10ng/mlの場合などの所見があれば黄体機能不全である可能性が高いです。
治療法としては以下のような方法があります。
ホルモン補充療法
排卵後のタイミングから黄体ホルモンを連日投与。内服薬や注射製剤でも補うことが可能。
黄体賦活化(刺激)療法:黄体を刺激するhCGの注射投与により、黄体機能を改善させる。
高プロラクチン血症が原因の黄体機能不全が疑われる場合には、高プロラクチン血症に対する治療としてドパミン作動薬を投与します。
以上のような治療法があり、患者さん個々に合わせた治療を行っていきます。