最新の鍼灸治療についてのメタ解析をご紹介できればと思います。
Acupuncture performed around the time of embryo transfer: a systematic review and meta-analysis
RBM online January 02, 2019
Caroline A. Smith et al.,
この研究はメタ解析であるため、非常に多くのデータを横断的に解析している研究となり、
データとしては非常に参考になるものです。
鍼灸治療や漢方治療をはじめとした統合医療においては、なかなか直接的な結果を測定するのが難しいため、
N数の少ない研究では、極端に良くも悪くも出る可能性がありますが、
今回のように20の研究かつ5000人以上のデータということで解析しているため、一定の傾向が得られることが多いです。
この研究では、2002年から2018年に行われた20の研究5130名の患者を対象に解析を行いました。
妊娠の増加 1.32倍
出生の増加 1.30倍
流産の減少 1.43倍
という結果が得られましたが、
一方で、シャム鍼(ささらない針)と通常の鍼灸の鍼を使用した群とでは差がなかったという結果が報告されています。
鍼灸治療を受けた群と受けていない群の間には大きな差がみられています。
この研究の難しい点は、手技やスキルが異なる先生、異なる背景を持つ患者を対象にしている点もあると思いますし、
体外受精の状況がどうであったか、そうした状況も読み解けない部分はあります。
しかしながら繰り返しではありますが、5000の症例を元に鍼灸を受けた群と、受けていない群とで差が出ているというのは、
大きな差ではないかと思います。
最終的にはランダム化比較試験などを通じて、効果検証を行っていく必要もあります。
当院では積極的に鍼灸治療を推進していきます。