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思春期後期のメタボリックシンドロームは精巣機能障害と関連する

健康と妊娠は密接に関係しています。

そのため、妊娠する力が現在低い方がいるとして、

それが今突発的に起こっていることなのか、それとも長い時間をかけてライフスタイルの中で形成されたものなのかによって、

取るべき対策は異なります。

これまでは以下のような内容も紹介しています。

男性の肥満は男性不妊(精液量の低下、総精子数の低下)に関連する

今回は男性の思春期の肥満と精巣機能の関係について紹介したいと思います。

 

思春期後期のメタボリックシンドロームと精巣機能の関係について


以下の論文を紹介します。

Features of the metabolic syndrome in late adolescence are associated with impaired testicular function at 20 years of age

R J Hart et al.,

Human Reproduction, dey371, https://doi.org/10.1093/humrep/dey371

この研究はオーストラリアで実施されました。

研究対象としては1989年から1991年に生まれた1454人の男性の乳児から詳細な身体検査を受けた子供の縦断的研究です。

17歳の時に、490人の少年が肝超音波検査、血清サイトカイン評価(n = 520)、および代謝評価(n = 544)を受けました。

20年後にさらなる代謝評価を実施した(n = 608)。

609人が生殖ホルモンを測定し、404人が精巣超音波検査を受け、365人が精液サンプルを採取しました。

 

結果としては、17歳で代謝異常、または20歳でインスリン抵抗性(IR)の特徴を持つ青年は、

代謝異常のない人と比較して障害のある精巣機能および変化したホルモンレベルを示していることがわかりました。

 

詳細には、心臓代謝リスクが増加した17歳の男性は、低リスク代謝群と比較して血清テストステロン濃度(中央値:4.0対4.9 ng / mL)およびinhB(193.2対221.9 pg / mL)を示した。

超音波診断で非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の証拠がある男性(n = 45、9.8%)は、

総精子産出量の減少(中央値:68.0対1億2,600万、P = 0.044)、

テストステロン(4.0対4.7 ng / mL、P = 0.005)

およびinhB(209.1対て218.4 pg / mL、P = 0.032)

という結果となりました。

その他にも様々なリスクとの関連性が指摘されていますが、かなり専門的な内容であるため、割愛します。

 

日本では諸外国に比べて肥満が多くはありませんが、

昔と比べライフスタイルは大きく変わってきています。

そうした変化と精巣機能の変化を完全に証明するのは困難ですが、

健康的な暮らしとの関係を否定する方が難しいように思います。

 

健康的な食事や運動、睡眠をベースとして、精子を守る10か条を意識してみるのが良いと思います。

 

妊活ノート編集部

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