今回はいつもと少し違う観点での研究を紹介できればと思います。
Using the EngagedMD multimedia platform to improve informed consent for ovulation induction, intrauterine insemination, and in vitro fertilization
Jody Lyneé Madeira
Fertil Steril. 2018 Dec;110(7):1338-1346.
この研究は、より良いインフォームドコンセントについて考えられているものです。
EngagedMDと呼ばれるマルチメディアプラットフォームを利用して、患者さんへの治療前の説明を行いました。
簡単に言えば、よりビジュアル的にわかりやすい説明文書だと思ってもらえるとよいと思います。
アメリカの13のクリニックと128の病院で、体外受精や人工授精の治療の前にマルチメディアプラットフォームを閲覧した63233人の患者として、
満足度の調査を行いました。
3,097名が回答し、その内訳は66%が体外受精治療、34%が人工授精治療者でした。
93%がEngagedMDを直感的に理解していると感じ、大部分の患者が同意した/強く同意した(88%)
彼らはより良い同意を得られるようになり(77%)、ケアを受けた時の満足度が増した(83%)。
OI-IUIグループと比較して、体外受精のメディアプラットフォームを見た統計的に有意に多くの参加者が、
治療リスクについて理解が深まりました(55%対44%)、その後看護師やプロバイダに質問し(45%対36%)、同意書に署名する準備を整えられた(46%対37%)。
としています。
日本でもまだまだ医療者からの説明は患者本位ではないものが見られます。
また、一度説明し、同意していれば深く理解していると考えがちですが、
医療は極めて専門的なことであり、覚えることさえ難しいというのが実情ではないでしょうか。
エビングハウスの忘却曲線という言葉がありますが、
人は思っているよりも早いスピードで忘れてしまうもので、
何度も復習をしないと知識が定着することはないと言います。
今、治療に臨まれる方々の多くは、生殖についての十分な教育を受けていないことが考えられますので、
丁寧に繰り返し情報提供していくことが欠かせません。
そうした状況の中で、患者さんにとって重要な部分を、患者さんにとってわかりやすい形を当院も模索していければと思います。