世界的に見ても、反復着床不全や反復流産、不育症の方々への治療はさまざまに進化しています。
一方で、治療の技術が進み、これでだめならこの治療とどんどんと進んでしまい、
患者さんが追い付いてこれないということもこれまでも少なからずあったのではないでしょうか。
今回紹介するのは、そうした反復流産患者へのサポート、フォローアップの必要性を紹介している
論文です。
反復流産患者へのフォロアップの必要性
以下の論文を紹介します。
Recurrent pregnancy loss: couples’ perspectives on their need for treatment, support and follow up
E Koert et al.,
Human Reproduction, dey362,
この論文はデンマークのコペンハーゲンで行われました。
北欧の国々は、マイナンバーのような制度が発達していますので、
患者さんの状況を国を挙げて把握しやすいのが特徴です。
3回以上の連続した流産を体験しているカップル13組を対象に研究が行われました。
この研究によれば、特に連続した流産の負担は3回目から急激に増加する傾向があります。
男性は、自分自身の損失の気持ちにもかかわらず、ポジティブな状態を維持し、
パートナーをサポートするように働きかける傾向がみられました。
男性・女性それぞれが悲しみを感じている中でも受けられたフォローやサポートには違い、隔たりがあるということを報告しています。
流産は、一度であっても言葉では表しきれないショックを与えます。
それが連続して起こることを考えると、そのショックは計り知れません。
身体的には女性に大きな負担がかかりますが、もちろん男性にも負担はかかります。
そういう意味では、男女ともにサポートが必要であり、それは家族によるものかもしれませんし。
私たちで言えば、生殖心理カウンセラーによるものかもしれません。
治療技術が発達してもなお、ヒトの生殖能力は100%ではなく、成功の陰にうまくいかない方々がいます。
技術ばかりを追い求めるのでなく、心のケアも充実した医療を心掛けたいと思います。