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卵子凍結の成績から見る卵子凍結の現状

卵子凍結は世界各国で行われています。

一つは、日本では社会的適用、と呼ばれるもので、

自身の加齢による卵子の質の低下、数の減少を理解したうえで、

今の卵子を凍結させておいて、その時期が来たら使うというものです。

もう一つは、医学的適用といわれるもので、若くしてがんにかかられた方が、

がん治療の副作用によって、妊娠する力を損なう前に、卵子を体外に取り出し、保存しておくというものです。

 

今回紹介する論文は、この社会的適用と医学的適用の両方を比較検討しているものです。

 

社会的・医学的適応の卵子凍結の妊娠までの比較


今回紹介するのは以下の論文です。

Elective and Onco-fertility preservation: factors related to IVF outcomes

A Cobo et al.,

Human Reproduction, Volume 33, Issue 12, 1 December 2018, Pages 2222–2231,

この研究は他施設合同で行われ、5289名7044周期の社会的卵子凍結(EFP)、1073名1172周期の医学的卵子凍結(Onco-FP)を対象に検討しました。

比較すると

年齢はEFP群で優位に高い(37.2歳 vs.32.3歳)

採卵個数はEFP群で優位に低い(9.6 vs. 11.4)

卵子凍結期間は、EFP群で優位に短かった(2.1年vs.4.1年)

となり、その後妊娠を試みたのは

EFP641名とOnco-FP80名でした。

移植率は、Onco-FPの方が優位に低い結果となりました。

妊娠成績を見ていくと、

Onco-FP適合年齢患者よりも35歳以下のEFP患者では、進行中の妊娠(57.7%対35.7%)および生存率(68.8%対41.1%)が高い結果となりました。

 

この研究では、どちらが良いかということよりも、単純に違いを表しています。

妊娠成績については、医学的適応患者のごく一部でしか検討されていないため、注意が必要です。

 

日本と比べると、両方の群の使用するまでの期間が短いように感じます。

日本では社会的卵子凍結は使用される方が少ないという結果で凍結実施をしない施設が増えましたが

この研究ではおよそ2年で使用するという結果もあり、社会の在り方が違うのかもしれません。

当院では、希望される方にはガイドラインにのっとって卵子凍結の実施をしています。

もちろん、実施前には様々なことをしっかり理解してもらい、リスクもリターンも理解・納得して、

患者さんご自身で決めていただきます。

妊活ノート編集部

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