流産はどのような方にでも一定の確率で起こりえます。
過去に以下でも紹介しています。
流産の状況によっては、流産後の処置が必要となる場合があり、
その処置の一つがDC搔爬です。
ただ、このDC掻把は、子宮の内膜に傷をつけてしまう可能性があり、
炎症となってしまったり、それが転じて子宮内膜症になってしまったり、
というように影響を与えてしまうことがあります。
DC掻把後の処置として、ヒアルロン酸のゲルを用いた治療というものがあり、
その有効性を検討した研究について今回は紹介したいと思います。
流産手術後の加療の有無によって、その後の妊娠成績は変わるのか
今回紹介するのは以下の論文です。
Reproductive performance after the application of hyaluronic acid gel after dilation and curettage in women who have experienced at least one previous curettage: long-term results of a multicenter prospective randomized trial
Fertility and Sterility December 2018Volume 110, Issue 7, Pages 1231–1238
Angelo B. Hooker et al,.
この研究では、149名の女性を対象に、子宮内膜DC掻把後の処置を、
①ヒアルロン酸ゲルの治療あり:77名
②なし:72名
でランダムに振り分け、
術後12カ月以内の妊娠などの経過を調べ、比較検討したというものです。
その結果によると、その後の妊娠率は
治療ありの群で71%(46/64)
治療なしの群で59.7%(40/67)
となりました。
しかし、流産率や妊娠継続率には有意差が認められておらず、
今後も継続して、こうした結果を集め、集計していく必要性があると考えられています。
望むと望まざると拘わらず、一定の確率で流産は起こってしまいます。
また、悲しいことに人工妊娠中絶も非常に多くの件数が行われ、その手術が後の不妊の影響となることもあります。
こうした研究に加え、心のケアなどがより一層充実していくことで、
流産を経験された方の負担を軽減していければと思います。