子宮内膜症を患いながら、妊娠を希望する方には、
大きく分けて二つの道が提示されます。
簡単に言えば、手術によって、病変組織(卵巣の一部)を切除するか
IVFによって治療するかということです。
今回紹介するのは以下のテーマでの寄稿です。
Women with endometrioma-related infertility face a dilemma when choosing the appropriate therapy: surgery or in vitro fertilization
Jacques Donnez et al.,
Fertility and Sterility 2018 December
妊娠を目指しながら、子宮内膜症を患っている場合、内膜症を直すために病変組織を取り除くか、
ARTによって妊娠を試みるかの二つがあります。
摘出手術を優先した場合のリスク
・手術医のスキルによる差が大きいこと
・費用
・手術による起こりうる合併症
・早発卵巣不全のリスク増大
・手術が一度で完了せず、繰り返す可能性
・ARTへの取り組みが遅延する
体外受精を優先した場合のリスク
・子宮内膜症が悪化する
・採卵自体が難しい
・キャンセル周期が増える
・子宮内の感染
・妊娠合併症のリスク増大
などが考えられます。
どちらが良いということではなく、
どちらにも同じようにメリット、デメリットがあります。
年齢が若く、時間的な余裕がある場合はともかくとして、
時間的な余裕がない場合、どちらを選択するかというのはとても難しい問題です。
こうしたデータを踏まえたうえで、患者さん自身が何を優先するかを
選択していくShared Decision Makingが求められているように思います。