昨日は、生殖医療の種類によって、児の発育過程に違いがあるのかということについて紹介しました。
その中で凍結融解胚移植周期については、若干児の体重が大きくなる傾向があることが触れられていましたが、
今日は、胚移植周期の違いによって、どのような差があるかについて紹介します。
胚移植周期の違いによる児の発育の差について
今回紹介するのは以下の論文です。
Effect of in vitro culture period on birth weight after vitrified-warmed transfer cycles: analysis of 4,201 singleton newborns
Jie Zhang et al.,
fertnstert.2018.10.006
この研究では、3日目の初期胚凍結融解胚移植3520周期、5日目の胚盤胞凍結融解胚移植215周期、6日目の胚盤胞凍結融解胚移植466周期を比較しました。
合計で、4201名の結果を後方視的に解析したものとなります。
母体の年齢やBMI、媒精方法、喫煙習慣、射出精子か精巣内精子かといった諸条件には差がありませんでしたが、
二個胚移植の割合は、3日目の融解胚移植周期においては、88.7%が二個胚移植が行われていました。
この研究で、各郡を比較して偏差値で見ていくと、
出生児の体重と在胎不当過大児の割合が、3日目と比較して、5日目・6日目の胚移植によって生まれた子どもで高い傾向が確認されました。
これは、母体内(卵管)に早く戻したことによる影響、逆を言えば、培養液内でその期間を過ごしたことによる代謝異常などによるのではないかと
この論文の作成者は、締めくくっています。
以前にも紹介しましたが、現時点では当院でのフォローアップ研究でもあるように
確かに出生児の体重差はあるものの、半年から1年の間に自然妊娠の子たちと同じように修正されていくことが判っています。
長期的な予後の観察はこれからも引き続き必要になります。
当院で治療され、卒業される皆様にはぜひご協力いただければと思います。