着床前スクリーニング(PGT-A)に関する海外の論文について紹介します。
今回紹介する論文は以下のものです。
Transfer of embryos with segmental mosaicism is associated with a significant reduction in live-birth rate
Temeka Zore et al.,
Fertility and Sterility September 2017Volume 108, Issue 3, Supplement, Pages e86–e87
この論文では、377のEuploidと判断された単一胚移植の症例を検証しています。
357個はモザイクのない症例であり、20個の胚は分節モザイクを有する症例でした。
出産率を比較すると
モザイクのない胚:53.8%
モザイクのある胚:30.0%
流産率については
モザイクのない胚:18.2%
モザイクのある胚:40.0%
という結果となりました。
これらの結果は、モザイクのある胚であっても、一定の出産率があるということと確かに流産率が高いと要約できますが、
捉え方次第では、流産しないで出産することもある、とも捉えられます。
日本ではパイロットスタディ中ですが、相互転座に起因する反復流産の方などにPGD(現在はPGT-M&SR)という技術が適応できますが、
遺伝的な専門家の存在が欠かせません。
正常か異常か
というような簡単な話ではなく、非常に複雑なことまでわかってくる検査であり、
医療者側の主観で決めてしまうのでなく、患者さんと一緒に考えながら取り組んでいかないとならない検査です。
PGT-Aでモザイクがあるとわかった場合の患者さんの複雑な心理や行動は先日以下でも紹介していますので、
よろしければ見てみてください。