当院の培養部で行っている研究・技術について紹介します。
今回は閉鎖型デバイスを用いた新たな凍結保存法についてです。
卵子や精子、受精卵を凍結保存する際に、現在日本においては、開放型デバイスを用いるCryotop法が広く普及しています。
開放型では、冷却速度が速く、生存性が高いのが特徴です。
液体窒素を介しているので汚染の可能性は極めて低いと考えられるが、完全に否定することは難しいと考えられます。
現在多くの施設では感染症症例には、開放型デバイスを用いるCryotop法により凍結し、感染症専用ボンベで保存していると考えられています。
しかし数種の感染症例があるにも関わらず、運用面を考慮して1つのタンク内で混在しており、他の感染症症例と一緒に保存されているのが現状です。
特に感染症症例で使用する際は保存ボンベ内への汚染を考慮し閉鎖型を用いるのが望ましいと言えます。
こうした感染症に対して有効なのが閉鎖型デバイスを用いた凍結保存法ですが、従来の方法では冷却速度が遅く、
センシティブな状態の胚や未受精卵子などにとっては、生存性に大きく影響する可能性があり普及が進んでいません。
開放型デバイスのCryotop法のように直接液体窒素に投入し生存性の高い凍結方法で、
保存の際には閉鎖型の形式をとり感染対策できる方法が望まれています。
当院では、患者さんから廃棄の申し出があった受精卵や未受精卵子を用いて、
閉鎖型デバイスであるCryotop CLを用いて、同様にKITAZATO社から市販されている Cryotopによる液体窒素への直接投入法を実施いたしました。
対象 | 指標 | 実績 |
受精卵 | 生存率 | 100%(60個/60個) |
未受精卵子 | 生存率 | 100%(21個/21個) |
こうした結果を受け、当院では閉鎖型デバイスを用いた新たな凍結保存方法を実施しています。
現在では、主に卵子凍結を行う患者さんに行うケースが多くなります。
詳しくお聞きになりたいという方は培養士やドクターまでお尋ねください。