健康的なライフスタイルと妊娠には密接な関係があります。
もちろん女性だけでなく、男性も同様です。
今回は中国の報告から、BMIと精液検査結果についての相関性について紹介したいと思います。
BMIと精液検査の結果との関係性について
今回紹介するのは以下の論文です。
Association between BMI and semen quality: an observational study of 3966 sperm donors
Jixuan Ma et al.,
Hum Reprod. 2018 Nov 8
今回の研究は、2013年1月1日から2018年4月9日の間での、3966名からの29,949回の精子提供について、
その精液検査結果と体重との相関性を解析したというものです。
BMI(単位:kg / ㎡)の定義は
痩せ:18.5未満
通常:18.5-24.9
過体重:25-29.9
肥満:30以上
こうした分類によると、通常の範囲の方々の精液と比較して、
痩せの方々の場合
精液量:3.6%
総精子数:6.7%
総運動精子数:7.4%
過体重の場合
精液量:4.26%
総精子数:3.9%
総運動精子数:3.6%
肥満の場合
精液量:6.0%
総精子数:7.1%
総運動精子数:8.9%
の差が確認されました。
BMIが正常体重の患者の中央値BMIよりも低くなる場合(21.6)、精液量、精子濃度、全精子数、総運動精子数は、BMIの低下とともに減少し、
BMIが21.6〜30の場合、精液量、全精子数および総運動精子数は、BMIの増加と逆相関すること(減っていく)がわかっています。
結論として、体重と精液の質には関係があるだろうと考えられています。
ただ、ここでいっている精液の質は、WHOの基準に対してどうか、健康な体重の群と比較してどうか、ということです。
そのため、体外受精などの生殖補助医療との関係性ではありませんので、ご注意ください。
女性の場合、地域によっては出産児の母体の安全性を考慮して、肥満の方を受け入れないという医療機関もありますが、
男性が肥満だからと言って痩せないと治療できないとか、受け入れができないということではありません。
しかし、不妊がカップルの6組に1組の割合で起こるものになりつつある今、
男性の不妊原因はおよそ半数とされています。
精索静脈瘤の結果などでもありますが、女性に不妊原因がない場合、
精液の質が改善すると治療のステップがダウンすることがあり、その影響はとても大きいのではないでしょうか
(顕微授精が必要だった方が人工授精、人工授精が必要だった方がタイミングでよくなるなど)
そのため、これから妊活を始める、という方々やタイミングや人工授精に臨まれる方にとって、
男女ともに健康管理、体重管理は取り組みやすいテーマと言えると思います。