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不妊症の男性の併存症治療の影響について

精子は男性にとって、健康のバロメータである、といわれることがあります。

今回は日本の研究について紹介させていただきます。

山口大学の白石教授が発表されている内容で、

現在Fertility and Sterilityにも掲載されています。

https://www.fertstert.org/article/S0015-0282(18)30566-1/

 

不妊症男性の併存症治療における精液所見の改善はするのか


今回ご紹介するのは以下の論文です。

Effects of medical comorbidity on male infertility and comorbidity treatment on spermatogenesis

Koji Shiraishi et al.,

Fertility and Sterility November 2018Volume 110, Issue 6, Pages 1006–1011.e2

この研究では、3,328名の不妊男性と452名の健康な男性とで、比較検討を行っています。

 

年齢は不妊男性群35.5歳、コントロール群で34.9歳でした。

BMIについては、不妊男性群23.7群、コントロール群23.4群と差はありません。

精索静脈瘤の有無については、不妊男性群29.0%、コントロール群18.8%でした。

 

併存症の有無については主だったものとして以下のような結果が得られました。

(不妊男性群:コントロール群)

高血圧 17.8%:7.1%

高脂血症 5.9%:2.7%

高尿酸血症 5.2%:2.0%

と有意差を認めています。

 

また、加齢とともにこの差は拡大していく傾向も認められています。

男性にも年齢の影響があるということを物語っています。

 

併存症のある男性とそうでない男性の精液検査結果を比較すると、

精索静脈瘤の有無を除く、すべての項目において併存症のある男性に異常が認められました。

 

特に今回併存症のうち目立っているのは高血圧です。

高血圧は、日本で最も一般的な生活習慣病の1つであり、

これまで高血圧症は精液パラメーターと精子DNA断片化の障害を引き起こすことが示されています。

ラットの研究などでも、高血圧が睾丸間質成分の破壊を通じて精子形成を混乱させる可能性があることを示しており

高血圧は精子数の減少および血管構造の密度の増加を引き起こすことが報告されています。

 

今回の研究では、治療を施し、追跡的に調査をしています。

その結果によれば、高血圧の期間および重症度にかかわらず、主に抗高血圧薬による治療は、

6ヶ月間の治療後に総運動精子数TMSCを有意に改善した。

と報告しています。

 

これまで、原因がわからない乏精子症などの男性不妊症に関しては、治療法がなく、

女性の治療のステップアップ(体外受精ではなく顕微授精にする、など)によって

対応してきた面は多くあります。

 

今回の研究結果によれば、併存症がある場合には、それを改善することで、

精液所見や生殖機能が改善する可能性が示唆されています。

 

一方で、不妊症治療は特に女性の年齢の影響を受けやすいため、

男性に併存症があるからと言って、その治療を優先させて、女性の治療を遅らせてしまうことは避けるべきとも言われます。

 

総合的に診察を行い、過不足のない情報を患者さんにお伝えして、納得のいく意思決定につなげていければと思います。

 

 

 

妊活ノート編集部

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