最近の特集では、不妊症が与える健康への影響について、記載されています。
生殖年齢(18-45歳?)の間だけ、存在するものもあれば、閉経後にも様々な女性疾患となるものもあると考えられています。
もちろん、男性不妊症も生殖と関係のないところで、健康と関連してくるものもあります。
今回はおよそ女性の6-10%に診られるPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の方の健康への影響について紹介したいと思います。
PCOSが閉経後与える女性の健康面への影響
PCOSについては、以下で紹介していますので、わからないという方は参照してみてください。
今回紹介するのは、以下の論文です。
Beyond fertility: polycystic ovary syndrome and long-term health
Laura G. Cooney et al
Fertil Steril. 2018 Oct;110(5):794-809
ここでは様々な横断研究をまとめて、PCOSと健康リスクについて解説しています。
欧米では、主にPCOSの方は、肥満の方に多いとされていますが、
横断研究の成果を見ていくと、肥満とは独立したリスクがあることが解説されています。
日本やアジアでは、主に痩せの方にPCOSが見られると言われますが、それとは別のリスクがあるのかもしれません。
2型糖尿病、糖代謝異常、高脂血症、肥満症、産科合併症のリスクが高まることなどが従来知られていましたが、
さらに、
うつ病、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)、心血管疾患のリスクが高まることなどがわかってきているようです。
ただ従来の研究では、若年性のPCOS患者が対象となっていることが多く、40歳以降妊孕性が低下してくる状況での
PCOS患者さんの研究については、まだまだ数が十分ではありません。
それでもいくつかの研究データを見ていくと、40歳以降の方々の健康リスクは妊孕能の低下とは関係なく、
上昇しているようにも見受けられ、今後のさらなる解析が必要となっていきます。
不妊症への治療は専門性の高い知識と技術が求められるため、専門医療機関が必要ですが、
今後は「かかりつけ医」のように、生涯にわたって患者さんとかかわっていけるような医療機関も求められるのかもしれません。
生殖と健康は無縁ではなく、一方で健康でなくては妊娠できないとも言えません。
実際に、肥満の影響は生殖補助医療によって回避できるというものも先日発表されています。
しかし、このように障害にわたって健康に暮らしていくために、克服しておくべき病状も中にはあることが、
今後わかっていくのかもしれませんね。
PCOSについては、様々な角度から紹介していますので、以下も参照いただければと思います。
FertiQOLについて PCOSカップルと原因不明性不妊カップルの比較
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)とサプリメント:コエンザイムQ10の効果について