不妊原因は男女半々といわれます。
とりわけ女性については、卵子の老化などの内容で、加齢が取り上げられますが、
過去の研究では、以下のようなものが紹介されています。
今回は、また別の視点から行われた研究で、
卵子提供(年齢の問題がない卵子)モデルで、男性の年齢がどのような影響を与えうるのか、
ということを解析した論文です。
男性も加齢とともに妊娠する力は低下するのか?
以下の論文を紹介します。
Egg donation model: an excellent way to isolate and analyze the impact of the male partner on assisted reproductive technology outcome
Spandorfer S et al.,
Fertil Steril. 2018 Oct;110(5):844.
上述したように、卵子提供サイクルでの男性因子を解析したもので、
男性の年齢、体格指数(BMI)、および精子パラメータとの関連性を調べました。
この研究に参加した26%程度の方は、標準的なBMIでした。
逆を言えば、7割以上が太りすぎ、肥満という方々です。
世界的に肥満が問題となっていることを表しているということかもしれません。
今回の研究において、肥満と妊娠成績の低下というのは認められませんでしたが、
他の論文では、肥満について多く紹介がされており、実際にデンマークの大規模調査では、
男女ともにBMIが25を超えると、ARTの成功率が最も低下するという結果を発表しています。
ただ、顕微授精を用いたサイクルにおいては、差を認めておらず、
これは肥満による何らかの精子のパラメータ低下を顕微授精という技術で補っているとも考えられます。
その他の年齢、精液パラメータなどの因子も検索したものの、この研究下では妊娠との関係性が見いだせなかったと結論付けています。
しかしながら、これは体外受精・顕微授精を実施した点であること、
ドナー卵子であるため、卵子側の因子が良好であり、精子との相互作用については
触れられていないことなどについては注意が必要です。
いずれの場合においても、証明されていないのは、加齢と共によくなるということかもしれません。
ですから、妊娠したいと思ったとき=妊娠的適齢期、ということなのではないでしょうか。