当院で取り組んでいる免疫性不育症の中に、
Th1/Th2比異常というものがあります。
当院では、同時に漢方外来も行っており、患者さんの状況に応じて、
様々な処方を試みております。
今回は一つ、漢方と免疫性不育症に関する論文を紹介します。
免疫性不育症に当帰芍薬散や柴苓湯は有効か
以下の論文を紹介します。
Theoretical basis for herbal medicines, Tokishakuyaku-san and Sairei-to, in the treatment of autoimmunity-related recurrent abortion by correcting T helper-1/T helper-2 balance
Am J Reprod Immunol. 2000 Dec;44(6):342-6
Fujii T et al.,
上記の論文をはじめ、いくつかの論文を横断的に解析した内容として紹介されているのは、
当帰芍薬散は黄体機能不全妊娠,子宮の過緊張による流産を阻止すると推察された。
柴苓湯の機能としてTh1サイトカイン分泌を増加させるが、Th2サイトカイン分泌に
変化を与えないために相対的に液性免疫を下げることにより、結果的に自己抗体産生を抑制すると言われている。
免疫不育症の漢方療法は柴苓湯療法が合理的である。
とされています。
外部参照:日本東洋医学雑誌(当帰芍薬散は免疫不育症に臨床的に有効か?)
すべての治療が自分たちの医療機関で実施でき、すべてのエビデンスが揃っているわけではありません。
しかし、世界で何百万の症例が行われているので、そうした知恵を安全性を考慮した上で応用して、
患者さんが妊娠できる大切な時期に最善の治療ができるように、これからも安全で安心な医療を提供していきます。