諸外国ではいまだ複数の胚を一度に移植することが行われていますが、
このほど発表されている論文では、
良好な胚を「1つ」移植することがベスト
だとしています。
With a good quality blastocyst, single embryo transfer remains the best choice
Abigail Mancuso et al.,
ここで紹介されているDobsonらの研究
(Effect of transfer of a poor quality embryo along with a top quality embryo on the outcome during fresh and frozen in vitro fertilization cycles)
良質な単一胚移植を以下と比較検討しています。
2010年から2016年にかけて行われた新鮮胚移植939症例と凍結胚移植1009症例を対象に解析を行いました。
ここでは良質な胚盤胞をTQEとし、低質な胚盤胞をPQEとしました。
TQEの単一胚盤胞移植
PQEの単一胚盤胞移植
TQEを2個胚移植
TQEとPQEの2個胚移植
PQEの2個胚移植
の5郡に分けて、比較を行いました。
これらとの出生率と多胎率を比較したというものです。
この結果では、
TQEの単一胚移植と、TQEとPQEの2個胚移植軍を比較しており
新鮮胚移植で26.5% vs. 33.7%
凍結胚移植で24.2% vs. 32.7%
と生産率には大きな影響を与えなかったとしています。
一方で、多胎妊娠の割合は、
4.7% vs. 19%
となり、低質な胚を一つ足すことによるデメリットの高さを強調しています。
それ以外では、PQEを単一胚移植した群では
新鮮胚移植で12.2%、
凍結胚移植で14.6%
PQEを2個胚移植をした群で
新鮮胚移植で21.2%、
凍結胚移植で14.2%
と低い数値が確認された。
TQEを2個胚移植した群では凍結胚移植の場合は40.3%であった。
多胎率は2個胚移植で有意に高かった。
こうした研究から考えられるのは、
生産率、多胎率という観点から考えると、
良好な胚を「1つ」移植することがベスト
ということのようです。
日本ではごく当たり前に行われていることですし、もちろん当院でもスタンダードな方法です。