海外では興味深い研究がされています。
その一つが医療経済の考え方で、治療における投資対効果を解析しています。
日本で認知度が高まっている全胚凍結と、海外ではいまだに多い新鮮胚移植を医療経済の観点から比較しています。
全胚凍結と新鮮胚移植に治療における投資対効果
海外での研究を紹介します。
A cost-effectiveness analysis of freeze-only or fresh embryo transfer in IVF of non-PCOS women
Khoa D Le et al.,
Human Reproduction, Volume 33, Issue 10, 1 October 2018, Pages 1907–1914,
この研究では、PCOSでない患者における全胚凍結周期と新鮮胚移植周期における治療の投資対効果を検証しています。
あくまでもここでは医療経済の観点で検証をしています。
②015-2016年の間に782組のカップルをランダムに二郡に分けて、
全胚凍結群と新鮮胚移植群を分けて比較検討したものです。
生産率としては、
全胚凍結群:48.6%
新鮮胚移植群:47.3%
となり有意差はなく、
コストとしては、
全胚凍結群:3906ユーロ
新鮮胚移植群:3512ユーロ
となり、
結果としては、PCOSでない女性の全胚凍結については、新鮮胚移植周期と比べて治療効率が良いとは言えない
としています。
ここでの注意点はいくつかあります。
日本と諸外国では治療している年齢層が異なる可能性がある点、
海外では2個胚移植などが通常に行われており、多胎率も10%を優に超えているため、
単一胚移植の結果ではないという点
が挙げられます。
いたずらに新鮮胚移植を否定もできませんし、凍結胚移植だけしかできないというわけではありません。
ただこうした治療成績や治療効率をしっかり頭にいれたうえで、ご紹介に当たれればと思います。