不妊に関する日本において重要な課題の一つが、
性教育のレベルアップです。
現在、治療に取り組まれている方の中には、
中学・高校の授業においては、性機能と避妊、性病くらいの知識しか得られず、
例えば、不妊にとってクリティカルな卵子の老化とか、男性不妊のことなどは聞いたことさえない、
なんていう方も少なくないのではないでしょうか。
そうした日本の性教育の在り方を見直すべく、活動されている方々がいらっしゃいます。
本日はそうした活動・研究を紹介したいと思います。
生殖関連の教育後のフォローアップ
今回は以下の論文を紹介したいと思います。
Two-year follow-up of a randomized controlled trial: knowledge and reproductive outcome after online fertility education
Eri Maeda et al.,
Human Reproduction, dey293, https://doi.org/10.1093/humrep/dey293
この研究では、オンラインで対象者に生殖に関する正しい情報提供を行い、
その2年後に、実際に挙児を得ているなどの差があるかについて、フォローアップ調査したものです。
名前を見てわかる通り、日本の方の発表です。
この結果によると、この短期間での出生率などには差はなく、
1回限りの教育の効果は限られていましたが、ベースラインレベルを超えて保持されていました。
重要なヒントとして、サブグループ分析によれば、健康的な妊娠前情報を受けることで、妊娠・出産することについての意思決定を
潜在的に加速させる教育が示唆された、としている点です。
妊娠には年齢が密接に関係しており、それを事前に知ることで、境界線や限界が自身の中でイメージされます。
そうした中で、人生計画に差が出る可能性は大いにあると思います。
一方で、その短期間で、結婚・妊娠・出産までを達成するのは難しい可能性もあり、
今後より長期的なフォローアップが成されていくことを期待してます。