体外受精が始まって40年という節目である今年、
より一層の注目が集まっているのが、児の安全性です。
私たちも以下のように発表をしていますが、世界的にも様々な形で、
体外受精児が自然妊娠で生まれたお子さんと何ら変わらないのだという証明がされてきました。
先天異常や奇形などのリスクが高いのではないかというご意見も今では少なくなったように思います。
一方で、これからはより一層長期にわたってフォローした時に差がないかということを
見つめていく必要が出てきています。
今回は学力について紹介しています。
ARTによって生まれた子どもの学力
今迄は安全性という視点での研究が多かったのですが、
今回は学力についての調査です。
School performance in singletons born after assisted reproductive technology
Emma Norrman et al.,
Human Reproduction, Volume 33, Issue 10, 1 October 2018, Pages 1948–1959,
スウェーデンでの研究で、
ARTで出産したお子さんと自然妊娠で出産したお子さんとを比較した大規模調査を行いました。
1985年から2001年の間にART(n = 8323)またはSC(n = 1 499 667)の後に生まれたスウェーデンのすべての単胎児が含まれていました。
小学校の教育スコアなどでの評価を行い、一部では自然出産児の方が優位なようにも思われたが、
有意さはなく、その他の学力においても有意差は認められませんでした。
これは北欧のデータですので、日本とは学習環境が異なるかもしれませんが、
少なくとも先天的に有する能力に対して、自然妊娠かART妊娠かということでの差はないものと考えられます。