日本は体外受精以上の治療において、
治療当たり妊娠率が世界で最も低いことで知られています。
これには様々な理由があります。
高齢の患者さんが多いことであることも一つの原因ですが、
卵巣刺激法の違い
が注目されています。
1度の採卵において、できるだけ多く刺激をして、多くの卵子を得たほうが良いのか。
優しい中程度の刺激で、3-4個程度の卵子が良いのか。
完全に自然な形で、毎月1個の卵子が良いのか。
生産率という観点からは、できるだけ多く刺激をして、多くの卵子を得ることだと言われています。
最も生産率が高まる採卵数は25個
欧州からの最新の報告です。
Cumulative live birth rates according to the number of oocytes retrieved after the first ovarian stimulation for in vitro fertilization/intracytoplasmic sperm injection: a multicenter multinational analysis including ∼15,000 women
Nikolaos P. Polyzos et al.,
Fertil Steril. 2018 Sep;110(4):661-670.e1
この研究では、約15000周期の他施設間共同研究によって、得られた採卵数と生産率の相関関係を解析した研究です。
該当となった患者さんは2年間追跡的に調査をされました。
生存累積累積率は、採卵数とともに着実に増加し、25個の採卵数のときに70%に達した。
新鮮胚移植に関しては、出生確率は7個まで増加し、7〜20個の卵母細胞の間で比較的変化しなかった(≦5%の増加または減少)。
卵子の数が20個以上であっても、一部で生産率の低下が確認されたが、それは全胚凍結周期の浸透によるものではないかと考えられる。
としています。
卵巣刺激を行うことで、採卵数を増していくことは、同時に副作用の増加を意味します。
卵巣過剰刺激症候群や血栓症などがその最たる例であり、こうした点へのケアをすることが欠かせません。
また、人種や年齢の点において、これを日本の方々にそのまま適応できるということではありませんが、
この研究では採卵数が25個の時に、生産率が70%に高まることを強調しています。
日本において、現状で言えることは、
年齢が35歳未満で、卵巣反応が通常の方であれば、ベストな刺激法はアンタゴニストをはじめとした刺激法であり、
全胚凍結、その後凍結融解胚盤胞移植、というのがセオリーではないかと考えられます。