子宮内膜の厚みと妊娠率については、以下で紹介しています。
今回はカナダの最新の論文を紹介します。
子宮内膜の薄さと妊娠率・出産率の関係について
今回は、カナダにおいて行われた大規模な後方視的研究について紹介したいと思います。
The impact of a thin endometrial lining on fresh and frozen–thaw IVF outcomes: an analysis of over 40 000 embryo transfers
K E Liu et al.,
Human Reproduction, Volume 33, Issue 10, 1 October 2018, Pages 1883–1888,
2013年1月1日から2015年12月31日にカナダのCARTR-BORNデータベースに登録された、
24,363の新鮮胚移植周期と20,114の凍結融解胚移植周期の結果を後方視的に解析しました。
この結果によると、
新鮮胚移植の場合、内膜厚と生産率の関係は以下のようになりました。
8mm以上:33.7%
7.0-7.9mm:25.5%
6.0-6.9mm:24.6%
5.0-5.9mm:18.1%
内膜厚が8mm未満になると、有意に低下したという結果が出ています。
凍結融解胚移植の場合、内膜厚と生産率の関係は以下のようになりました。
8mm以上:28.4%
7.0-7.9mm:27.4%
6.0-6.9mm:23.7%
5.0-5.9mm:15.0%
内膜厚が7mm未満になると、有意に低下したという結果が出ています
また、内膜厚が8mmになる確率は年齢と共に低下したという結果が出ています。
35歳未満:89.7%
35-39歳:87.8%
40歳以上:83.9%
という結果とのことです。
前方視的研究ではないものの、これだけの大規模研究の結果であるため、
参考にするには十分なデータかと思います。
受精卵ほどではないにしても、子宮内膜にも年齢の影響があることがわかりますし、
また、治療によって内膜を厚くすることは様々な方法で可能です。
内膜が厚くなりにくいという方は、一度医師までご相談ください。