様々なサプリメントが不妊治療には有効と考えられていますが、
最近になって注目を集めているの一つがミオイノシトールです。
先の受精着床学会でも世界IVF学会記念賞候補に選ばれるなど、医学会でも注目されています。
いくつかの論文を紹介したいと思います。
ミオイノシトールの不妊治療における効果は…
ミオイノシトールはビタミンB群の1種とも言われており、
ヒトの場合、糖尿病などが原因で体内でイノシトールが不足すると、神経症状が起こるなどの悪影響が知られています。
従来は、糖尿病予備群の方や、多嚢胞性卵巣症候群の方などに有効と考えられてきました。
Inositol supplement improves clinical pregnancy rate in infertile women undergoing ovulation induction for ICSI or IVF-ET
Xiangqin Zheng
Medicine 2017;96:e8842
この研究はSystematic Review and Meta-Analysisと呼ばれるもので、7つの研究を横断的にまとめて、
大量のデータを解析しているものです。
今回の研究では7つの研究、935名の女性が含まれていました。
ミオイノシトールを摂取した群とそうでない群を比較したところ、
ミオイノシトールを摂取している群の方が、臨床妊娠率が高く、流産率が低い結果が出たということです。
この研究では、最終的な結果としての差が出ているのは事実ですが、
まだどのタイミングに摂取すべきであるかということなどは詳細が分かっていない部分がありますので、
今後も研究が必要であると考えられます。
もう一つ研究を紹介します。
Myo-inositol therapy for poor-responders during IVF: a prospective controlled observational trial
Francesca Caprio et al.,
J Ovarian Res. 2015 Jun 12;8:37
この研究では、72名の顕微授精を予定しているPoor Responder(卵巣の機能が低下しており、反応が良くない)患者を、
2つのグループにランダムに振り分け、
採卵の3か月前から、片方にはミオイノシトールと葉酸を、もう片方には葉酸のみを投与しました。
卵巣刺激方法は同じ方法で行っています。
その結果として、ミオイノシトールを投与したグループの方が、使用したFSH製剤の量が優位に少なく、
MⅡ卵が得られる確率は高く(80.5%:66.6%)、ゴナドトロピン卵巣感受性指数(OSI)と呼ばれる指数が高い結果となりました。
OSIというのは、簡単に言えば、この数値が高ければより多く卵が得られるということです。
このように、ミオイノシトールの摂取により、様々なタイプの方の不妊治療において、成績の向上が見られていますが、
今後まだ研究が必要と考えられます。
次回は、PCOSの方との関係を紹介できればと思います。
また、ミオイノシトールを豊富に含む食品には、果物や穀物、ナッツなどの豊富に含まれている。
ここでも地中海食が出てきますね。健康的な暮らし、食生活を心がけることは、妊娠しやすい身体づくりにつながっていきますね。
ごく少数のサプリメントであれば良いですが、あれもこれもサプリメントというのは、
経済的にも負担が大きいので、食生活の見直しは大切なポイントではないでしょうか。