近年、男性の精子の力が低下していることが欧州などでも盛んに報告されています。
精子の質の低下というのは、ヒトの生殖能力そのものですので、
それが低下するということは大変なことです。
最も関係性が強い項目として、ライフスタイルの変化が考えられていますが、
今回は食事と精子の質の関係について紹介したいと思います。
男性の精子の質と食事の関係
男性の精子を作る能力の低下で最も影響がある一つに精索静脈瘤が挙げられ、
造精能力が低下している方の40%程度に認められるとも考えられています。
しかし、おおよそ30%ほどについては、原因不明とされています。
これまでの世界で行われた研究では、いくつかの栄養素がこうした精子を作る能力の低下に関係しているのではないかと考えられています。
以下の研究を紹介します。
Dietary Patterns and Poor Semen Quality Risk in Men: A Cross-Sectional Study.
Anna Danielewicz et al.,
Nutrients 2018, 10(9), 1162
この研究はポーランドの生殖医療施設で行われたもので、
20-55歳の114人の男性の精液所見と食事パターンとの関連性について解析をしました。
健康的な食事パターンと西洋型食事パターンが抽出されました。
西洋型食事パターンというのは、スナック菓子や動物性の脂肪や乳製品を多く摂る方で、
健康的な食事パターンでは果物や野菜、ナッツなど、これまで紹介してきたものでは、地中海食に近いと考えるとわかりやすいと思います。
その結果、西洋型の食事パターンが強い方は、精子の運動率が低い、という傾向になったということです。
この研究は、後方視的な解析であり、対象となった方の数ももっと多く求められるかと思いますが、
西洋型の食事パターンが「強い」方に、運動率が低い傾向がみられるということなので、
西洋型の食事をとると精子が悪くなる、というほど短絡的なことではないかと思います。
日常的には地中海食の方が健康的だと思いますが、時に食べたいときには西洋型の食事をとるのは問題ないのではないかと思います。
食事のことだけを気にして神経質になるのはよくありませんが、
ベースは地中海食などの健康食を心がけるのがポイントではないでしょうか。