妊孕性温存について考える

卵巣組織凍結融解移植について

妊孕性温存には

卵子凍結、受精卵凍結、卵巣組織凍結があります。

最近では卵巣組織凍結の実施も全国的に増加してきており、

今後注目されるのは、卵巣組織凍結後の融解卵巣組織移植です。

 

今回は融解卵巣組織移植について海外の情報をご紹介できればと思います。

 

凍結融解卵巣組織移植について


凍結融解卵巣組織の移植について重要な点は、

安全性の確保

移植方法

フォローアップ

の点にあると考えられています。

 

安全性の確保

卵巣組織凍結で最も危惧される点は、

仮に卵巣組織の中に、がん細胞が混入していて、移植をしてしまうと、

そのがん細胞が増殖し、がん再発となるリスクがあると考えられています。

そのため、様々な検査方法を用いることで、がん細胞が入っていないかどうかを検査します。

そのうちの一つが例えば、免疫のないマウスへ卵巣組織切片を移植することで、

がん細胞が混入している場合にはマウスががんになりますのでわかるという

SCIDMICEという方法などがあります。

それでも、最終的に移植する切片とは異なる細胞を調べることになりますので、

100%の安全性は確保できないというところは事前に患者さんへのインフォームドコンセントが必要です。

 

移植方法

移植方法については妊孕性温存の先進国であるドイツやデンマークではすでに様々な方法が試されています。

多くは、卵巣を切除してきた場所、あるいはその場所の近くに移植するという同所性移植と、

それとは異なる位置に移植する異所性移植というものがあります。

同所性移植では多くの妊娠例が報告されており、卵巣組織凍結の最大の特徴の一つである

自然妊娠が可能になることから、現実的には最も適した移植方法と考えられているようです。

 

フォローアップ

通常の生殖補助医療と妊孕性温存は異なり、フォローアップが極めて重要な意味を持ちます。

不妊治療の場合には、基本的には今まさに挙児を希望している患者さんへ行うのに対して、

未来の可能性を温存するために行うのが妊孕性温存です。

そのため、温存してから移植するまでの間に数年という単位でのインターバルが必ず生じます。

それが小児がんともなると、なおさら長くなります。

加えて、卵巣機能が廃絶してしまわれた方に移植をして、卵巣機能が回復したとしても、

その時パートナーがいなかったり、すぐに挙児希望をしていないという場合などは、

何を有効性の判断軸に置くかというのもとても難しい問題です。

 

そのため、デンマークなどの北欧では徹底的に国のデータベースを用いてフォローアップがされています。

日本においては、まだマイナンバーはそれほどの効力はないのだろうと思いますし、

がん治療と生殖医療の診療科の違いもあって、長期的なフォローは今後も課題が残っていると思われます。

 

世界的には非常に多くの卵巣組織凍結・融解移植が実施されており、

特に欧州の見解では、卵巣凍結移植は「実験的な段階ではない」と考えられてきています。

 

これからも妊孕性温存の最新情報をアップデートしていきたいと思います。

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