妊娠しやすい身体づくりにはいろいろなことが関係してきます。
特に最も気を付けないといけないことでいえば、
喫煙
が挙げられますが、
今回は妊娠後の出産まで視野に入れた場合にあるリスクとして、
歯周病と妊娠の関係について紹介したいと思います。
歯周病と妊娠にみられる相互作用について
一般的に歯周病にかかるリスクは経年的に増加していく傾向があります。
昔と比較すれば、様々な商品やケア方法などが充実したことで、
50歳になっても20本の歯が残っている人の割合は増加していますが、
この経年的に歯周病患者が増える、という傾向には変化がないようです。
この歯周病が妊娠、特に低体重児出産や早産との関係が強いことが知られています。
歯周病は早産への影響がある
NPO法人日本臨床歯周病学会が発表している内容などから確認すると、
歯周病のある妊婦は、歯周病のない妊婦と比較して、
早産・低体重児出産リスクは合計2.83倍
早産のリスクは2.27倍
低体重児出産は4.03倍
と考えられています。
歯周病(つまり炎症)がある場合、血液中のサイトカインが増加します。
妊娠の過程では、出産のタイミングをこのサイトカインの量によって判断すると考えられており、
歯周病があることで、通常よりも多い量のサイトカインを検知し、子宮の収縮が早まると考えられています。
それが上述のリスクにつながります。
妊婦だからこそ歯周病にかかりやすい
もう一つの側面から見ると、歯周病は妊婦だからこそかかりやすい側面があります。
歯周病の発生のひとつに女性ホルモンが深く関与していると考えられています。
女性ホルモンというとエストロゲンとプロゲステロンが代表的ですが、
このエストロゲンが歯周病原細菌の増殖を促すことと、歯肉を作る細胞がエストロゲンの標的となると考えられています。
プロゲステロンは炎症の元であるプログラスタンジンを刺激します。
妊娠後期には、こうしたホルモン値の上昇が考えられ、歯周病にかかりやすくなりますし、
妊婦という特性上、つわりなどがあって歯磨きを忘れてしまったりという生活習慣の変化も関係してくる要素もあるかもしれません。
いずれにしても、妊婦が歯周病のリスクが高く、歯周病であることで早産・低体重児出生のリスクを高める、
ということは頭に入れておくべきことではないでしょうか。
妊娠する前から、「いつも通り」の口腔内のケアをしておくことは重要です。
妊娠しやすい身体づくり、と特別に考える前に、プラークコントロールをはじめ、当たり前の生活を送ることから始めるのも大切なことですね。